プロジェクトマネージャー 春川 英広
“インターネット通販”と言うと「データを駆使した高度な販促策が必要」とか、「ECモールの出店に多額な費用がかかる」など、少しハードルが高いイメージをお持ちになるかもしれません。 しかし新潟には、“フェイスブック”を活用して費用をかけずに“サクッと”インターネット通販に成功している企業が存在します。 ■その企業とは・・・ 和牛をメインに“塊肉(かたまりにく)”を専門に扱う「お肉ジャパン」です。 売上の中心は「個人向け通販」によるものですが、ECモールもWEB広告も使わず、“フェイスブックへの投稿”のみで成果を上げているところが特徴です。 投稿回数は月に20回程度。“お肉大好き”な店主・小野寺淳子さんが、みずから厳選した塊肉を数千円~15,000円前後の「詰め合わせ」にして、写真とともにフェイスブックへアップします。すると、コメント欄やメッセンジャーには、全国のフォロワーから続々と注文が寄せられ、数時間後には見事“完売!”となります。 なお、こちらのページは「ショッピングカート無し」「決済は振込みか、代引きのみ」の対応ですが、お肉ジャパンの「ファン」は、その不便さも軽々乗り越え注文に至ります。 (お肉ジャパンフェイスブックページ https://ja-jp.facebook.com/onikujapan/ ) ■成功の要因は・・・ 何といっても1,900人を超える「フォロワー」との“繋がり”でしょう。 2015年8月に開業してから3年足らず。どのようにフォロワーを増やして来たのか、小野寺さんにお聞きすると「特段、お店からの広告などは打っていない」というから驚きです。 唯一意識的に行っているのは「出荷時に、お客様ひとりひとりに宛て、手書きのメッセージを同封し、丁寧に感謝の気持ちを伝えていること」だそうです。 地道な取り組みですが、フォロワーとの心の繋がりが強化され、クチコミや紹介が生まれやすい雰囲気を醸成できるのではないでしょうか。 ■ちなみに・・・ お肉ジャパンが取り扱う「塊肉」を少しビジネス的視点で見てみると、 ・特徴的(=差別化されている) ・キャッチー(=検索やクチコミされ易い) ・高単価(=出荷コストや包材コストを吸収できる) ・リピート商材(=繰り返し購入されやすい) ・大きくて重い(=店で買うより、取り寄せの方が便利) など、WEB通販で成功しそうな要素が満載です。 さぞ「戦略的」に商材を選定されたのだろうと、起業の経緯を質問すると、 「通販で間違って業務用の塊肉を注文しちゃった時に、図らずも感じた“おいしさ”や“ワクワク感”。これを周囲の人と共有したいと思ったことがきっかけ」だとか。 なるほど。商売の原点は、結局こういうところなんですね! お肉ジャパンの商売繁盛の秘訣が少しわかったような気がします。 ★追伸:春川が担当するコラム(よもやま話)では、今後も新潟市内で活躍する経営者やリーダーを取材して、ビジネスを成功に導く“リアルなヒント”を探っていきたいと考えています。次回は8/15の予定です。お楽しみに!