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2018.03.15

「知らなすぎる日本の私」或いは「アンドロイドは電気バッタで動くのか?」

食の技術コーディネーター 椎葉 彰典

先日、東京幕張メッセで行われた国際食品・飲料展FOODEX JAPAN2018に行った際、私は広すぎる会場を走りながらもあるモノを探していました。もしかすれば見落としていたかもしれませんが、見当たらなくてホッとしている自分がいました。探していたモノとは「FOOD CRISIS(食糧危機)対応食品」です。

国連の推定によると世界の人口は年に1.18%の割合で増え続けていて2050年には90億人に達するとのことです。それにともないFAO(国際連合食糧農業機関)では2050年までに60%の食料生産を増やす必要があるとのことです。毎年のように世界各地で異常気象による農作物の不作が伝えられていますし、食料を増産するにも土地や水には限りがあります。現在の世界の人口は約72億人ですが、8人に1人が慢性的な栄養不足、つまり飢餓状態にあるのです。

既にヨーロッパなどやアメリカでは人工肉の商品が「殺さない肉」として流通されていますし、効率良くたんぱく質を摂取するための仕組みとして「昆虫食」の研究も盛んです。

さすがに日本では最新の食品展示会場を見る限りにおいては、人工肉や昆虫食はまだ展示されていませんでした。ただ個人的には、日本においても食糧危機に対する提案がなされても良いように感じました。具体的には、四方を海に囲まれている海洋国日本として、海洋資源の有効活用の提案や地球温暖化が進む中、世界規模の小麦を中心とした主食提供から温暖化による稲作への移行を視野に入れた米へのシフトや、たんぱく質も含まれている玄米などを食べやすく加工された食品などといった提案をイメージします。

一方、こうした世界的な食糧危機の中、政府広報によれば日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量です。また、民間の調査では2700万トンという報告もあります。そのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまうもの、いわゆる「食品ロス」が500万トンから900万トンもあるといわれています。日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っているが、その半分近くを捨てていることになり、金額にすると111兆円にものぼるというデータもあります。

見た目のきれいさや手軽さ、過剰な賞味期限への対応は、日本人の食に対する意識や文化に対する今後の課題だと考えております。対応策としては、モッタイナイという食に対する意識や食品ロスなどといった食に対する現状認識と意識への啓発が必要なのではないかと思われます。また、ビッグデータを活用した生産から消費、在庫補充までの精度の高い需要供給予測などを駆使することなどをイメージします。

さらには、これらのことを踏まえて『「食」のにいがた』と称されている新潟において「美味しい新潟」を堪能するだけではなく、日本が世界に先駆けて食糧危機や食品ロスに対応する取組みを率先して示していければと思っています。

IPC財団では『「食」のにいがた』と称されている新潟での事業者さまの取組みのお手伝いとして専門家による日々の相談事業のほか、さまざまな支援メニューを企画しておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。また今回,食品事業者をはじめ農産加工者や農業者の方向けビジネスセミナーとして、新潟市農業活性化研究センターとのコラボ企画を実施いたします。

タイトルは「わたしの6次化物語」と題しまして公開座談会スタイルで開催いたします。これは支援メニューの一つである「食のマーケットイン支援事業」を活用しながら6次産業化に取組んだ方を交えながら6次化に取組むきっかけや成功談、失敗談などをお聞きし、みなさまへ成功のヒントをお伝えできればと思い用意させていただきました。

この機会に是非ご利用ください。

セミナー名:『わたしの6次化物語』
対象者:食品事業者、農産加工者、農業者、そのほか興味のある方はどなたでも
日時:平成30年3月27日(火)午後2:00~午後3:30
会場:新潟市農業活性化研究センター(新潟市南区東笠巻新田3043番地)
受講料:無料
お問い合わせ先:新潟市農業活性化研究センター
TEL 025-362-0151

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