専門スタッフ 松田 大輔
「部下のモチベーションを上げたい・・・」
この言葉を何かしらの場面で聞いたことがある、あるいは実際に発言したことがあるという方は多いのではないでしょうか。
部下のモチベーションを上げるという課題は、しばしば永遠のテーマの一つとして取り上げられたりもしています。そこで今回は、この「モチベーション」について少し掘り下げていきたいと思います。
一般的にやる気のことを“モチベーション”と表現しますが、とりわけビジネスの世界での“モチベーション”は「仕事への意欲」を指すことがほとんどです。そして、仕事への意欲を掻き立てるには「動機づけ」が必要と言われています。
「動機づけ」の代表的なものとして「欲求」が挙げられますが、ここで有名な「マズローの欲求5段階説」をご紹介させていただきます。マズローによると欲求は「①生理的欲求=食べたい!」「②安全欲求=健康でいたい!」「③社会的欲求=集団に属したい!」「④承認欲求=認められたい!」「⑤自己実現欲求=能力を最大限に発揮したい!」といった5階層に分かれているとしています。
モチベーションを高く発揮してもらうためには、「④承認欲求=認められたい!」から「⑤自己実現欲求=能力を最大限に発揮したい!」の段階への到達が必要となります。この段階での「動機づけ」は「外発的動機づけ」(給料・賞与などの外的要因)と「内発的動機づけ」(達成感・充実感・責任感などの内的要因)の2種類が存在しますが、今回は「内発的動機づけ」について考えてみたいと思います。
マズローの欲求5段階説のポイントは「下位の欲求が満たされて、はじめて上位の欲求が呼び起こされる」ということです。つまり、「④認められたい!」が満たされていなければ「⑤能力を最大限に発揮したい!」とはならないということになります。逆に言うと、能力を最大限に発揮してもらいたいのであれば、成果に対する評価を正しく行うことが必要とも言えます。
マズローの欲求5段階説はわかりやすい理論のためか広く浸透しており、経験に照らし合わせても概ね腑に落ちるのではないかと思います。
近年ではヘッドハンティングやキャリアアップのための転職が珍しくなくなり、雇用形態やライフスタイルなどの多様化も相まって、可能性ある人材の確保は以前にも増して重要なウェイトを占めていると感じます。
そういった中でも部下の“モチベーション”を高める、あるいは維持するためには、上記のような「動機づけ」や「欲求」に着目し、仕事の成果を正しく評価することや達成感・成長感が満たされるような取り組みが必要と考えられます。例えば、貢献度を目に見える形で示してみたり、理念・目的・目標を共有するといったコミュニケーションや過程における「プロセスの重視」が今後はより求められていくのではないかと考えます。
モチベーションに関する理論はこのほかにも「自己効力感」「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」「マクレランドの欲求理論」といったさまざまなものが存在しますので、ご興味のある方は一度お調べいただければ幸いです。
※マズロー氏は晩年に、「⑤自己実現欲求」の上にさらにもう一つの階層があるとして「⑥自己超越=至高の境地」を発表しましたが、哲学的な要素が入っていることもあり、今回は割愛させていただきました。