2017.12.28 食の技術コーディネーター 椎葉 彰典
先日、地方出張の合間に東京でFeel The Garden主催の「苔(コケ)のテラリウムワークショップ」に参加しました。東京都江東区の下町風情の一角に理化学+インテリアを目指したアンテナショップ「リカシツ」の1号店の2階のレンタルスペース「リカラボ」で実施されたワークショップで、理化学の実験で使われる広口瓶にコケを栽培する園芸スタイルを体験できるものです。 ワークショップでは、コケとは何か、生態を知る・ テラリウムの構造・コケのテラリウムの製作・コケのテラリウム管理方法などが学べます。欲張りな私は、コケをてんこ盛りにして広口瓶に植えました。できあがった広口瓶の“コケ“ジャングルは、まるで私の頭の中のようだと、思わず笑ってしまいました。 46億年の地球の歴史のなかで、初めて海から陸に上がったといわれるコケは、地面から水や養分を体内に行き渡らせ体を支える役割を果たす機能の「維管束」と呼ばれる器官がありません。 そのため、全体で吸収する構造となっています。そのシンプルな構造のため、弱々しく見えますが、じつは乾燥に強く、組織内部のかなりの水が失われても再び水を得ると生き返る能力を持つことが知られています。実際、ワークショップで植え込み作業中、みるみるうちに乾燥しカサカサになったのですが、作業終了後、霧吹きしてあげるとしっかり復活し、感動いたしました。 このことからもコケは、厳しい環境変化の中で生き残るために環境の変化を「受容」する道を選んだといえると思われます。いっぽう、他の植物などは、環境の変化に対応するためさまざまな形態や進化を遂げています。 イメージし易いものの一例としてサボテンなどの多肉植物などが挙げられます。猛烈な日差しと乾燥のため、葉を針状にし、水分や養分を蓄えていくスタイルへ進化してきました。 こちらは、厳しい環境変化の中で生き残るために環境の変化に「適応」する道を選んだといえます。 ビジネスにおいても、植物界のような気象環境の変化だけではありませんが、取り巻く環境(経済・政治など)がどんどん変化しています。 この変化に対応するために、変革・改革などに取組まれる方もいらっしゃることと思います。 そのなかで、成功される事業者さまも多くいらっしゃいます。 しかしながら、周りが変わるので自社も変えなきゃと考え、自社が大切にしていることや、良さをないがしろにしてまで変化するのはいかがなものかと考えます。 進化の流れを表した「進化樹」では、根元の方にはコケが記載され、種や実をつける被子植物などは、樹の上の方に記載されています。一般的には、下部は下等、上部は高等と解説されていますが、個人的には、いまこの世にいるものは「皆、上等!」だと思います。さまざまな環境の変化に「適応」するだけがすべてではなく、コケのように「受容」する道もあるのではないかと思ったりしています。 IPC財団では,激しく変わる環境変化中での事業の進め方など、「適応」か「受容」すべきなのかなど、事業のベクトルに関する検討などについてもお手伝いしておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
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2017.12.28
人類の大先輩から学ぶ「受容」と「適応」
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