最新情報
2017.09.29

知って欲しい話、解り難い話

2017.9.29
ものづくり技術コーディネーター 原 利昭

社会では“どうしてそうなの?”と思う方は多いが、“何故そうなのか?”と突き詰めて考える人は少ない様です。今回は、本当は必要なのに理解不足に起因する二つの話題をご紹介致します。

社会の大切なシステムが十分に機能しきれず、残念な結果に至った新聞記事が思い出されます。自動体外式除細動器(AED)の利用に関わる問題提起です。AEDは、心臓が細かく震えると共に血液を送り出せなくなる”心室細動”を来した場合に電気的なショックを与えて心臓の震えを取り除く装置です。

電源を入れると流れる音声ガイドに従って操作する様になっており、一般市民も操作は可能です。電極パッドを胸部に貼った後、AEDが電気ショックが必要かを自動的に判断し、必要であればボタンを押してショックを与える様になっています。

AEDは県内の公共施設などに設置が進み、場所も公表されており、更には、大学や医療関係者らが心肺蘇生法の普及を目指す一環として学校での出前講座等を実施し、心臓突然死の減少を目指す貴重な取り組みを行っています。この様な意義有る活動が、折角、行われている一方で、AEDの活用が十分になされているのかを指摘する意見も見られる様ですが、該当者の全てが迅速且つ適切にAED活用により危機を脱したかが全ての様に思います。AEDはIPCビジネス支援センターにも設置され、人命を守るためにも常時待機状態にあります。

二つ目は、大学院を修了し、博士号を取得した“人材”の話題です。就職に関して企業から “博士人材は30歳に近く、新入社員と同様に扱えない”、“博士ほどの専門知識は不要で、扱い難い”等の指摘が産学連携の場で披露され、“採用に当たって博士人材が使えないのは本当か?”とも問われている様です。

しかし、古くから“需要と供給の関係”と言われる状況に“博士の採用”に関わる変化は余り無い様でもあります。恐縮な言い方ですが、“博士人材”の研究を通して身につけたセンスはかなりのモノであり、生き残り競争にも十分耐える能力もあります。

以下、工学系に限った話ではありますが、博士課程の修了には通常のコースであれば5年を要し、時間との闘いに明け暮れ、研究能力を常に問われる実態を知って頂くと“博士人材の雇用”への不安は大きく減ることと思います。それでも不安を感ずる企業は、面接、インターンシップを課す他に指導教員との面会による当該院生の資質、人柄、特徴等の情報獲得も貴重な一助となります。

課題先進国である日本は大きな対応に迫られつつあり、ハイレベルな技術開発やAIおよびIoTを活用した生産性の向上等、社会全体が大きく変わりつつあるこの時期に、“使える人材=博士人材”であることを再認識する必要がありそうです。

メールマガジン登録 Mail Magazine

新潟IPC財団メルマガに登録すると、新潟のビジネスに役立つ情報をお届け!ぜひご登録ください。