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2016.11.30

顧客視点

2016.11.30
食の技術コーディネーター 椎葉 彰典

図1
著者撮影:佐渡のカモメ

先日,佐渡に行ってきました。少し,波があったものの特に激しく揺れることもなく行くことができました。島に近づくとかもめ達が出迎えに来てくれます。ゆったり羽ばたくものや超高速で駆け抜けるものなどさまざまです。ふと脳裏に浮かんだのは,「カモメのジョナサン」でした。

1970年代初期にアメリカで大ヒットしたのち,日本でも大ベストセラーとなったリチャード・バックによる小説で,ご存知の方も多いと思います。

私が最初に読んだのは,小学校6年の時で,「カモメの写真がところどころ掲載されている絵本」みたいな印象の本でした。

なぜ,興味を持ったかというと,じつは,カモメの写真は写真家ラッセル・マンソン氏が,「カモメのジョナサン」のためでもなく,ましてやリチャード・バックのために撮影したものではなく,全く関係なく撮り貯めていた点であったことをニュース記事で読んだからです。別々で創作された小説と写真たちは,まるでお互いのストーリーを紡ぎ合うように織りなされ大変感心したものです。

その後リチャード・バックは,2014年に44年前に封印していた幻の第4部を含めた完成版を発表し,日本では,五木寛之氏の創訳で出版され話題になりました。今風にいえば,「意識高い系」のカモメの話ですが,考えさせる点も多々あり,3部で完成だと思われた本でしたが,4部目の登場で味わい深い作品となっておりますので,読んでない方は,ぜひ手に取ってご覧ください。

★  今回のキーワードは、『 顧客視点』です  ★

図2
著者撮影:佐渡汽船連絡通路

佐渡汽船と朱鷺メッセをつなぐ連絡通路には,さまざまな言語で記載されたボードが掲げられています。よく見ると漢字っぽい文字で記載されているボードがふたつあるのが目につきました。

歓迎の意味で書かれた「欢迎 」と「 歡迎」です。前者は簡体字。後者は繁体字です。
簡体字は普通語(北京語)の表記で、繁体字は広東語や台湾での表記です。
多くの国から旅行者が訪れるところでは,このように多言語で記載されることが,多いと思われます。

しかしながらインバウンド対策の積極的なホテル・旅館や海外からのお客様へのアプローチを熱心に行っているお土産店や料理店などの中には,片方だけの表記で済ませてしまい,台湾からの旅行者が多いのにもかかわらず,「欢迎 」と記載していたり,またその逆をしてしまう方も多いと台湾や上海の知人から聞いたことがあります。

日本人としては,どちらも何となく字の形が「歓迎」に似ていて,読めるので特に気にしない方もいらっしゃいますが,先の知人から当事者としては,「何となく疎外感を感じ,寂しい気分になる」と言っておりました。やはり,自国語で歓迎されているほうが,気分は良いものです。

これらの事例に限らず,事業をされている皆さまにおかれましては,「顧客目線」で「顧客の普段使っている言語を使い,伝える」ことを一度見直してみるのをお勧めいたします。

ジョナサンが,伝えきれなかったのは,誰よりも高く飛んでいた為かもしれません。

図3
著者撮影:Shiiba’s Jonathan Livingston Seagull

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