2016.10.17
食の技術コーディネーター 椎葉 彰典
秋の夜長に読書をしていたのは,若かりし日の事。最近では,ネットショップを見ている方が多くなってきました。インターネットでの買い物は非常に便利で安くて早いので活用しています。一方,このネット販売の台頭で苦戦を強いられている実店舗も多いと聞きます。電化製品などは,最近では「リアル店舗」で,実物を見て,触って,「ネット」で購入するパターンも多いとのこと。実際,わたしもそうする場合は多々あります。
それではこのまま,実店舗(リアル店舗)がなくなってしまうのでしょうか。
私は,そのようなことは無いと考えます。
「リアル店舗」にはリアル店舗としてのやり方があるのではないでしょうか。
ネットでは難しいことを「リアル店舗」では,しっかり意識して行う。この差別化ポイントが明確にできなければ,結局「価格」で差別化するしかなくなり,ネットショップとの価格の泥仕合となるのは目に見えています。
リアル店舗ならではのやりかたは,業種業態によってさまざまですが,ネットとの差別化を徹底するならば「お客様とのコミュニケーション」が挙げられるのではないかと私は考えます。それもできれば,「個々のお客様に向き合ったコミュニケーション」がより有効なのではないかと考えます。そこまでなると,客側も,もう客として購入するのではなく,その店の「ファン」として購入するのではないでしょうか。
このように考えたのも,ヒントは禅の「公案」だったのです。
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「浄瓶と呼ばず」
東京国立博物館 法隆寺献納宝物「浄瓶」
新しい寺の住職を決めるため、二人の僧を試験して決めることになった。
百丈(ひゃくじょう)和尚は、
浄瓶(じんびん・手を浄める水を入れた瓶)を指さして、
「これを浄瓶と呼ばないで、何と呼ぶか」
首座(しゅそ・道場の衆僧中の最高位)が直ちに
「まさか木片と呼ぶわけにもいきませぬわい」と答えた。
次に、典座(台所の炊事係)の霊祐(れいゆう)に尋ねた。
すると彼は、浄瓶を蹴飛ばしてさっと去ってしまった。
百丈は、霊祐を新しい寺の住職に決めた。
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この公案を味わうとき
ふと浮かんだ言葉は、Realization(リアライゼーション)…
現実化、達成、成就っていう意味のほか「悟りをひらく」という意味があります。
そう、今こそ「リアリティ」を徹底的に追求しなければならない時代なのかもしれません。
ビジネス支援センターでは,みなさまとともに事業における差別化ポイントの抽出などのお手伝いもさせていただきますので、お気軽に相談して下さい。