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2026.10.15

年度の変わり目に仕込む「食の1.5次産業」 実証から事業化へ、そして創業という選択

食の技術コーディネーター 椎葉彰典

10・11月は、多くの企業が次年度の事業計画を組み立てる時期です。設備投資の検討、補助事業の情報収集、新しい取引先の開拓。前回、「食の1.5次産業」への三つの入り口についてご紹介しましたが、今回は、実際に関わろうとする際の進め方を、実証、事業化、創業という三つの段階に分けて述べます。

■ まず小さく試し、数字を取る

新しい取組を検討するとき、最初にすべきは構想を大きくすることではなく、小さく試して数字を取ることです。一品目、一工程、一取引先。この規模で実際に動かし、歩留まり、作業時間、保管費、運賃、そして不良の発生率を実測します。

このとき重要なのは、加工賃の単価だけで採算を判断しないことです。前処理は、原料の状態、季節、ロットの大きさによって手間が大きく変わります。取引全体で採算が合うかどうか、繁忙期に工程が重ならないかどうかまで含めて確かめる。合わないという結論が出た場合も、条件を変えれば成立する境目が見えていれば、それは次の交渉の材料になります。

■ 事業化の段階で決めておくこと

継続的な取引に移行する段階では、あらかじめ取り決めておくべき事項が四つあります。

第一に規格です。品目、形状、正味重量、包装、温度帯、ロット、納品頻度、期限表示。曖昧なまま始めると、後から追加作業が発生します。第二に価格の見直しです。原材料費や燃料費が一定幅を超えて変動した場合は協議する、と開始時に定めておく。据え置きが当たり前になってからの交渉は困難です。第三に記録です。作業日、数量、温度、ロット番号の記録は、事故が起きたときに範囲を特定し、説明する力になります。第四に責任の分界です。どの工程まで誰が担い、どの時点で引き渡すのか。この線を書面で確認しておくことが、長く続く取引の前提になります。

■ 創業という選択肢

この領域には、既存企業の新規事業としてだけでなく、創業として参入できる余地があります。産地を回って原料を集める集荷コーディネート。空き設備を活用した前処理の受託。急速凍結と冷凍保管の提供。規格書の作成や品質管理の代行。需給のマッチングや原価計算を支えるシステム。副産物を素材へ転換するアップサイクル。いずれも大規模な自社工場を持たずに始められる可能性があり、食品業界の外から来た知見が効きやすい領域でもあります。

 

ただし、留意点も申し上げておきます。販路が固まらないうちに設備投資を先行させれば採算は崩れます。売り先が決まってからの投資は投資ですが、決まる前の投資は賭けになりやすい。特定の一社に依存した取引は、条件が良くても価格決定と継続性の面で不安定さを抱えます。そして農産物は季節変動を伴いますので、年間を通じた稼働の設計は、事業計画の段階で考えておく必要があります。

■ 来年度に向けて

「食の1.5次産業」は、まだ形が定まりきっていません。だからこそ、これから関わる事業者の実務が、この地域の仕組みそのものを形づくっていきます。次年度の計画を立てるこの時期に、自社の強みをどこに置くのかを検討していただければと思います。

 

新潟IPC財団ビジネス支援センターでは、事業計画の組み立て、採算の検証、連携先とのつなぎ、創業に関する相談まで対応しております。構想の段階でも構いませんので、ぜひお気軽にお声がけください。


 

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