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2026.06.15

新潟市が描く新たな経済循環モデル「食の1.5次産業」

食の技術コーディネーター 椎葉 彰典

 

新潟市は、豊かな農産物と高度な食品製造業を有する国内有数の食料供給拠点です。しかし、地域経済の持続的な発展を見据えた際、規格外品や余剰農産物の活用が十分に進んでいないことや、生産・集荷・加工・販売の間に構造的な分断が存在していることなど、解決すべき課題も少なくありません。

これらの課題を克服し、農産物の付加価値向上と地域内経済循環の確立を目指す新たな枠組みとして、新潟市は「食の1.5次産業」という概念を提唱しています。当財団(新潟IPC財団)としても、このビジョンの実現に向けた産業間連携を強力に推進していく所存です。

 

■ 「食の1.5次産業」がもたらすパラダイムシフト

1.5次産業」とは、第1次産業(農林水産業)と第2次産業(食品製造業)の中間に位置づけられる新たな産業分野です。具体的には、一次産品に対して洗浄、カット、ペースト化、冷凍といった「前処理加工」を施すプロセスに特化することで付加価値を創出し、食品メーカー等(2次産業)での利用適性を高めることを目的としています。

これまでの「6次産業化」は、生産者が加工から販売までを一体的に担う取り組みが主流でしたが、すべての農業者がその機能を抱え込むことには限界がありました。1.5次産業モデルの最大の特長は、農業者への過度な負担を前提とせず、加工、物流(ロジスティクス)、データ分析などの専門的な機能を持つ多様な民間事業者が役割を分担して参画する点にあります。

 

■ 異業種連携による「1.5次産業クラスター」の形成

本構想の実現には、単なる加工支援にとどまらない、多様な主体が連動する「地域産業クラスター(エコシステム)」の創出が不可欠です。

生産者が提供する一次産品を、効率的な集荷ネットワークと高度な加工技術によって処理し、食品メーカーや小売・飲食店へと安定的に供給する。この一連のサプライチェーンにおいて、地域の加工事業者や集荷コーディネーター、さらには大学・研究機関や金融機関などが有機的に結びつく「コンソーシアム(共同体)」を形成することが求められます。これにより、過大な設備投資リスクを分散しながら、地域全体で持続可能なビジネスモデルを構築することが可能となります。

 

■ テクノロジーが支える「未利用品利活用プラットフォーム」

クラスター形成をさらに強固なものとし、自律的な発展を促す基盤となるのが「未利用品利活用プラットフォーム」の構築です。

このプラットフォームでは、生産者が登録した未利用品(規格外品等)の情報を起点に、ITAIを活用した高度な需給最適化が行われます。具体的には以下のような機能が想定されています。

リアルタイム情報とAIによる最適化 画像解析や状態判定を通じた原料のAI評価に加え、集荷時の最適ルート提案(CO2排出量や渋滞情報の考慮)が行われます。
品質・証跡の管理 HACCPに準拠した加工場での前処理と厳格なロット管理により、衛生管理レベルの向上とフードチェーン全体でのトレーサビリティが確保されます。
高度なマッチング機能 原料価格、物流費、加工費等の採算計算を可視化し、食品メーカー等の買い手と最適なマッチング(入札・発注)を実現します。

このプラットフォームを通じて、これまで「捨てる対象」であった未利用品は、規格化・採算化・証跡化された「調達可能原料」へと価値を転換し、実需者へ届けられます。

 

■ 新たな価値創造パートナーシップに向けて

「食の1.5次産業」構想は、生産から販売までの構造を可視化し、論理的かつデータドリブンなアプローチによって地域資源の最大化を図る産業政策です。

 

新潟IPC財団は、支援機関としてこの経済循環モデルの社会実装を後押しします。製造業、物流業、ITベンチャーなど、各分野の専門性を持つ企業の皆様におかれましては、この次世代の産業クラスターを牽引する「共創パートナー」として、本プラットフォームへの積極的なご参画を期待しております。ともに新潟の食産業の未来を切り拓き、新たな価値を創造してまいりましょう。

 

 

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