プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
手術可能な設備を備えた救急車両で、災害現場に向かう医療チームの姿を描いた人気ドラマ"東京MER"の映画が今夏封切られました。現役の救命医として活躍している大学時代の先輩が、「医事指導」で関わっているとのことで早速見て来ました。
先輩からは事前に、「脚本を読んだ時には、"危険な場所に医療従事者が入っていく"というシチュエーションに抵抗を感じたが、監督補から『これは医療ドラマではなく、医療を介した戦隊ヒーロードラマだと思ってください』と説明があったので、納得して担当することができた」というコメントをもらっていました。
その言葉通り、映画では戦隊ヒーローが遭遇するような危険な場面が、これでもかと続きます。医療チーム自身が身の危険にさらされながら行う救命処置、その場での処置か搬送しての処置かの判断、不安定な場所での手術など、まさに想定外の連続です。そして、その度に主人公たちは、瞬時に判断を下していきます。
主人公たちの姿を見ながら、経営者や責任者として事業に携われている皆さんも、日々、様々な判断を求められているということを改めて実感しました。そして、想定外の事態が起こった時に余裕を持って対応するためには、①選択肢を複数持つようにすること、②判断基準を持っておくこと、この2つが重要なのではないかと感じました。
まず、選択肢を複数持つということについてですが、これは常に仕入先、販路を複数持つということに置き換えられます。
ビジネスの上流にあたる仕入先や協力企業について、それぞれ①何を仕入れているか、②何を頼っているか、③選定した理由、④代替候補、これらを定期的に把握しておくことが大切です。
一つの仕入先・協力企業に依存していると、そこに何らかのトラブルが発生した時に事業が止まってしまいます。複数の取引先とのネットワークを構築しておくことで、リスクを分散できます。
ビジネスの下流にあたる得意先や最終消費者については、①取引内容(関係性、取引条件、優先度等)、②全体の売上・利益に占める割合、③得意先、最終消費者から選ばれている理由、④代替・新規候補、これらを定期的に見直すことが重要です。特定の得意先への依存度が高い場合、その企業の業績悪化や方針転換が自社に大きな影響を与える可能性があります。
次に、判断基準を事前に設けておくということですが、これは事前に判断ルールを決めておくということに他なりません。
外部要因の発生原因として、仕入れ先からの条件変更提示、仕入先の業務停止、販売先からの条件変更提示、販路の業務停止等が考えられます。これらの事態が発生した時に、「どの程度の条件変更なら受け入れるか」「代替先への切り替えはどのタイミングで行うか」といったルールを明確にしておくことで、迅速な対応が可能になります。
内部要因の発生原因としては、投資判断(ヒト・モノ・情報への対応または投資⇔期待できる効果)の基準を設けることが重要です。新しい設備投資、人材採用、システム導入などを検討する際の判断ルールを明確化しておくことで、感情的な判断を避け、客観的な評価に基づいた意思決定ができます。
映画の中で主人公たちが見せる冷静で的確な判断は、日頃からの訓練と準備があってこそのものです。同様に、事業運営においても、平時からの準備が有事の際の対応力を決定します。想定外の事態は必ず起こります。しかし、準備をしていることによって、それは成長の機会や、新たなチャンスにすることが可能になります。
持続可能な事業基盤を築いていくために、ぜひこれらの視点を取り入れてみてはどうでしょうか。もちろん、ご相談先としてIPCをご利用いただくことは大歓迎です。
またIPCでは、「選択肢を複数持つヒント」となるべくセミナー・事業を、9月以降に予定しています。ご興味のある方はぜひ参加をご検討ください。
家でも配信サービスを使って映画が簡単に見られるようになりましたが、劇場で見る映画は、画面の迫力、画質・音響の良さのレベルが違います。やはり、映画館で見る映画って本当にいいもんですね。
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