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2016.05.31

バナナとクールビズから多様化を思う

2016.05.31 食の技術コーディネーター 椎葉 彰典

 年間を通して手頃な価格で栄養価も高い果物として親しまれているバナナですが,バナナの木を枯れさせるパナマ病という病気の感染がアジアからオーストラリアの一部、アフリカ、中東へと広がっています。 パナマ病はフザリウムというカビの一種によって引き起こされています。これが根っこからバナナの木に感染し、いずれ木を殺してしまう『萎凋(いちょう)』 を引き起こすのです。 現在,日本に輸入されているバナナはフィリピン産の「ジャイアント・キャベンディッシュ」という品種が8割を占めており,世界のバナナ輸出市場の約95%は、キャベンディッシュ種が占めています。味や色味,大きさなどの点において消費者に人気のうえ、長い船旅を乗り切ることができ、標準化された大きさと形のおかげで市場での売買が容易な点が理由として考えられます。 野生のバナナでない栽培バナナは不稔(植物から種子が生じない現象)であるため,株分けなどで増やします。つまりクローンなので,遺伝的多様性に乏しく、病気が発生すると致命的な打撃を受ける可能性が考えられます。

やっかいなことにパナマ病は,病気になった木を治したり、土壌から菌を取り除いたりするの は、ほとんど不可能だと言われています。国連食糧農業機関(FAO)は、パナマ病について「世界で最も破壊的なバナナの病気の1つ」と指摘しています。この病気に対抗するため、360億ドル(約4兆円)規模であるバナナ業界が行動する必要があると強調しています。具体的には,病気の拡散防止策や生産者向けの早期警戒監視システムと教育プログラムの立ち上げのほか,病気に強い品種改良が待ったなしに行われる必要があります。

★ 今回のキーワードは「多様化を考える」です ★

6月にはいり,衣替えの季節となりました。この時期ノーネクタイで過ごされるビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。2005年、当時の小泉純一郎首相が小池百合子環境大臣に働きかけたことにより始まったクールビズですが,アパレル業界(特にネクタイ業者)では、廃業に追い込まれた企業、柔軟に対応した企業、業績を大幅に伸ばした企業と明暗が分かれたようです。ビジネスにおいて特定の商材、特定の大口得意先に依存した経営では、ひとつの状況変化が命取りとなる場合があります。ただでさえ変化の激しい昨今、政府の方針や法改正・規制に限らず、顧客ニーズの変化によって、いつなんどき自社の主力商品が売れなくなるとも限らない世の中です。変化への対応にはいろいろと方法があるとは思いますが、「多様化を考える」という発想・問題意識を持ってみるのもひとつの方法ではないかと私は考えます。 タイでは、「簡単なこと」や「ありふれたこと」を意味し,親しみのある言葉として「クルアイ・クルアイ」(「กล้วยๆ・กล้วยๆ」、「kluay kluay」。「バナナ・バナナ」の意)という言い回しがあります。みなさまのビジネスにおける商品やサービスが、「バナナ・バナナ」であり続けるためにも、「多様化」について検討してみませんか。

ビジネス支援センターでは、みなさまとともにビジネスにおける課題の検討などのお手伝いもさせていただきますので、お気軽に相談して下さい。

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