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2024.12.13

『ユニクロ』と“バックキャスティング思考”

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 

年の瀬を迎え、いろいろな所で「2024年の〇〇」という言葉が聞こえ始めました。今年は年明け早々、能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故、北九州の火事、秋葉原の刃物事件と、大きな天災や事件が続き、「今年はどんな年になるのか」と不安に感じた方も多かったと思います。みなさんにとってはどんな1年だったでしょうか?

 

今年、私が最も印象に残っている書籍は、柳井 正氏への取材を元にした『ユニクロ』と、その中でも触れられていた、柳井氏が「私の最高の教科書」と推薦する『プロフェッショナルマネージャー』です。

どちらの本でも語られているポイントは、「経営は、終わり(ゴール設定)から始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする」という考え方です。いわゆる「バックキャスティング思考」と呼ばれるものです。

この「バックキャスティング思考」は、SDGsの目標達成に向けたアプローチ法など、様々な場面で利用され、既に一般的な考え方となっていますが、実際にやってみようとしてもなかなか難しい方法です。難しいと感じる原因の一つは、「ゴール設定=どんな形が理想か」を自分自身の中に明確に描き、それを具体化しなければならないからではないかと、私は考えます。

 

“くまモン”のアートディレクション等を行った水野 学さんの『センスは知識から始まる』と、“伊右衛門”のコピーライティング等を行った小西 利行さんの『すごい思考ツール』も、今年読んだ本の中で5本の指に入る面白い内容でしたが、興味深い共通点がありました。どちらの本でも、一般的に「天賦の才」と思われている「センス」は、「自らがアンテナを立てて、たくさんの良いものに触れる」ことで誰でも身に付けられると、述べられていることです。

バックキャスティング思考が止まってしまう「どんな形が理想かわからない」という状態は、実は「理想を具体化するのに必要な、十分な情報を集められていない」状態に近いのかもしれません。良い会社、良いビジネスモデル、良い組織とは何か。それは個人によって異なり、誰かに教えてもらえるものではありません。自らアンテナを立て、様々な情報を集め、取捨選択し、咀嚼してこそ、「自分の理想」を形作れるのではないでしょうか。

 

今年は例年より少し長めの年末年始休暇が取れる方も多いと思います。まずは、これらの書籍を手に取られ、どんな風にアンテナを張って情報を集めればよいか、それをどのように整理して、自身の目標づくりに活かせるかを試す時間に使ってみてはどうでしょうか。

またお一人で考えるのは難しいという場合、内閣府が作成した「経営デザインシート」という、バックキャスティング思考を具体化するツールもありますので、IPCで一緒に検討することも可能です。お気軽にお声がけください。

 

今年も新潟市内で事業をされている方、創業を検討される方からのたくさんのご利用をいただき大変感謝しております。
来年も引き続き、IPC財団をよろしくお願いいたします。

 

◎ユニクロ
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/24/03/06/01304/

 

◎プロフェッショナルマネージャー
https://presidentstore.jp/category/BOOKS/005002.html

 

◎センスは知識から始まる
https://publications.asahi.com/product/15849.html

 

◎すごい思考ツール
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918792

 

◎経営デザインシート
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html

 

 

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