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2024.06.28

ゴミを拾いながら気づいたコト

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 

先日、新潟出身者も行ったことがある人は少ない、という粟島に行ってきました。

きっかけは、友人から粟島の海岸清掃を行う「粟島クリーンアップ作戦」への参加に誘われたためです。「参加費・約5,000円の清掃イベントに、果たしてどれぐらいの人が集まるのだろうか?」と思いながらフェリー乗り場に向かいましたが、到着してビックリ! 待合室から人が溢れるぐらいたくさんの人が集まっています。

さらに粟島に到着してみると、先行して来島されている方も含め、少なく見積もっても100名以上の方が参加されています。

 

このクリーンアップ作戦の活動内容はとてもシンプルで、

2班に分かれて、約2時間ゴミ拾いを行う

・ゴミ拾いが終了した後は、港近くの温泉入浴無料券と昼食のお弁当が渡され、帰りのフェリー出港時刻までは自由時間

・参加者は自由時間を使って、島内周遊バスで島を周ったり、釣りをしたりと各自で楽しむ

というものです。

 

 「来島してもらう」という機会をせっかく創っているのに、数時間で島から帰すのはモッタイナイのでは、と最初感じましたが、途中から「これはまず、粟島に気軽に来てもらうきっかけを作り、気に入ってもらった人に再訪を促す」という絞った効果を狙ったしかけづくりなのではないか、とイベントに対しての見方が変わりました。

 「絞った目標に集中して取組み、狙った目的を効果的に達成する」という手法、複数の書籍でも言及されていますが、日本人にはなかなか難しい取り組み方のようです。

 

1冊目は、Microsoft社で現役プログラマーとして活躍されている牛尾 剛さんが書かれた、「世界一流エンジニアの思考法」で紹介されている、日本人とアメリカ人では「優先度を付ける」という作業が異なることです。

日本人は、例えば5つの事柄があった場合、文字通り15の優先順位に並べ直して全てを実行するのに対し、アメリカ人は一番重要と思われる1つだけを選び実行する。結果、全体を平均的に仕上げる日本人に対して、最重要の事柄のみに注力して仕上げるアメリカ人の方が、突出した成果を上げられる事例が多いのでは、と推察されています。

 

 2冊目は、“識学”という経営手法の啓もう活動をされている安藤 広大さんが書かれた「数値化の鬼」で紹介されている、「変数を絞る」という考え方です。この書籍では、仕事で成果を出すために注力すべき改善点を、“変数”として定義しています。

 全ての事項に注力しがちな日本型組織では、改善点の“変数”は放っておくと、どんどん増えてしまう、と安藤さんは説明します。そうなると、増加した変数への対応が重要になってしまい、本来の目標を見失いがちになる。そのため一度に設定する変数は、できるだけ少なくする(安藤さんは2つを推奨)、という組織での仕組みづくりの方法を紹介されています。

 

 3冊目は、太平洋戦争での旧日本軍の失敗を分析し、現代でも活かせる教訓としてまとめられた「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」です。ここでは「目標を絞り、そこに注力することで目的を達成する」事例として、太平洋戦争の帰趨を決めたと言われる“ミッドウェー海戦“を分析しています。

日本軍はミッドウェー海域の25の島全てに兵力を置いたのに対し、アメリカ軍は戦略上重要な8の島のみに兵力を集中させ、「ミッドウェー海域を制圧する」という目的を成功させたと分析しています。

 

 これらの話をビジネスの場に置き換えてみると、フルスペックの日本的なアプローチの取り組み方だけでなく、本質を絞りこんで注力するアメリカ的なアプローチの取り組み方も検討し、使い分けをする必要がある、ということではないでしょうか。

特に初めて取り組む事業の場合は、計画・実行内容と成果の関係が明確になり、効果測定が計り易いアメリカ的な手法が効果的と考えられます。

 

 初・粟島上陸とイベント参加は、大満足でした。

 理由としては、食べてみたいと思っていた粟島名物の「わっぱ煮」が食べられたこと、イベントが17回目の開催ということで運営がスムーズだったこと、クリーンアップ作戦の様子が新聞の号外のような形で準備され、帰りのフェリーに乗る前に配られ良いお土産になったことです。タイミングが合えば、来年は前泊して参加してもいいかも、思いながら帰路につきました。

 

 そういった意味では、少なくとも私に対しては、「まずは粟島に来て体験してもらい、再訪を促す」という点に絞ったシンプルな今回の取組み、大成功だったのではないでしょうか。

 

◇世界一流エンジニアの思考法

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917689

 

◇数値化の鬼

https://www.diamond.co.jp/book/9784478114377.html

 

◇失敗の本質

https://www.chuko.co.jp/bunko/1991/08/201833.html

 

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