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2024.04.30

想いを伝える大切さ

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 

今年3月末に新潟商工会議所と協力し、シンガポールで活躍している「ライバー」に、新潟ゆかりの食品、商材を紹介してもらう「ライヴコマース」を開催しました。

 今回の「ライヴコマース」の仕組みを簡単に説明すると、以下のようになります。

・シンガポール人の女性2名(ライバー)が、シンガポール現地の人(一般人)に向けて、インターネット上で商品の紹介を行う。

・商品紹介を見て、その商品を気に入った視聴者からの注文を受けて販売する。

インターネット版テレビショッピング、と置き換えて考えるとイメージしやすいかもしれませんね。

「ライヴコマース」自体は、一般的になりつつある販売方法ですが、改めて情報発信のツールや流通の発達、そして様々な形での販売機会が生まれ、新潟にいながら市外・県外、海外の方と取引ができる環境が整ってきていると実感しました。

 

 “人口減少”、“働き手不足”、“少子化”と、「日本人が減る事」に関するニュースが、ほぼ毎日報道され、併せて様々な場面で深刻な問題となっていることも報じられています。これらの問題は、事業を営まれている方にとって、従業員の確保が困難になり事業運営が難しくなる事と、顧客の減少で売上確保が困難になるという課題に繋がります。どの事業者にとっても遅かれ早かれ頭を悩まされることになる、といっても言い過ぎではない問題です。

売上確保への対応策は、「客単価の確保」と「客数の確保」のどちらかしかありません。「これまでのお客様が減ってきている」という課題への具体的な施策としては、市外・県外でのビジネスに挑戦することで商圏を広げるという方法も検討候補になります。今回ご紹介した「ライヴコマース」のように、海外の消費者向けのビジネスに挑戦する事も、具体的な方法の一つに入ります。

 

これまで商圏外への販路拡大、海外での販路拡大についてお手伝いしてきた私自身の経験では、新しい市場に挑戦する時に必要な項目は次になります。

①商品・サービスの定量的な特徴が明確か? 伝えられているか?

→ どういった事にこだわっているか、他社製品と比べてどういった点が優れているか等が説明できるか。 

②商品・サービスの定性的な特徴が明確か? 伝えられているか?

→ これまでどういった人に愛されてきたか、どういった点が好まれているか、どんな使われ方をされているか等が説明できるか。

③適した流通経路を見つけられるか?

 → 商品の特性にあった流通経路、商品の特性にあった売場、無理のない取引条件が選択できているか。

(初めて海外取引にチャレンジされる場合、今回の「ライヴコマース」のように、日本国内で商品受け渡しと決済ができる流通経路から始められることをお勧めします)

 

 これらは何も、「外に打って出る」時だけに必要な項目ではありません。市外・県外からのお客さん、海外からのお客さんに対しても、細かな点は変わりますが基本は同じです。

 

①商品・サービスの定量的な特徴が明確か? 伝えられているか?

→ どういった事にこだわっているか、どういった点がおススメか等が説明できるか

②商品・サービスの定性的な特徴が明確か? 伝えられているか?

→ 地元ではどういった人が使ってくれているか、どういった点が愛されてきたか。どんな使われ方をされていたか等が説明できるか

③また購入してみよう、友人に勧めようという行動に繋げられるか?

→ お客様がストレスなく購入できるか、持って帰りやすい包装か、リピート購入に繋がる仕掛けがあるか等、お客様と良い関係作りができるか

 

特に「海外」「外国人」を対象と考えた場合、言葉の壁や習慣の違いで二の足を踏まれる方が多いのが事実です。しかしながらこれらの問題も、スマートフォンを使う事で瞬時に正確な翻訳ができるようになったことで、コミュニケーションの難易度は格段に下がっています。

そうなると結局大事なのは、「SNS等を使った情報発信」といったツールの利用だけに取組むのではなく、「マインド」(自分たちがおススメするモノへの愛、楽しんでもらいたい、「ウチとソト」を分けない)ということではないか、と思います。

 

また「1つの商品・サービスづくり」に注力する「点」を極めることだけで終わらせず、「伝えたい情報を明確にする」という点を加える事で、点と点を繋いで「線」に

「複数の集客方法」という線を加える事で、線と線を繋いで「面」に

という風に、複合的な取組みにできないかを考えると、より効果に結びつきやすくなります。

1社での取り組みが難しければ、思いを同じくする事業者同士で連携を組む、地域でチームを作って取り組む、というカタチも考えられます。

 

冒頭でご紹介した「ライヴコマース」の利用や、今年5月にオープン予定の「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」、パリ新潟専門店「キナセ」での販売等、市外・県外で販売できる機会は増加しています。まずは無理のない範囲で、「域外」ビジネスにチャレンジされてはどうでしょうか。

IPCではこの種のご相談にも対応できますので、ぜひご利用ください。

 

私が責任者で運営していた、上海での日本の伝統工芸品の販売店は、約3,000社の日本のメーカーの商品を扱っていました。お店の“鮮度“を保つために、店舗の一番目立つ棚のディスプレイを、月に23回変えていました。多くの商品がある中で、一番目立つ棚に、つい置きたくなるのは、わざわざ現地に足を運んでいただいたメーカーの商品になりがちでした。

3,000社のうち、実際に上海の売り場を見に来られた方は100社にも満たず。売り場を造っていると、どうしても現地に足を運んでいただいたメーカーの商品を推したくなるものです。ビジネスを行う上での「マインド」の重要性、こんな場面でも実感した経験です。

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