新潟IPC財団が支援した事業者様を紹介する「支援事例」シリーズ
第3回は、新潟市西蒲区でミニトマト生産を行っている「エンカレッジファーミング㈱」様です。日本海最大規模のガラス温室を活用してミニトマト生産をする会社がミニトマトへかける想いや、当財団を利用したキッカケなどをお聞きしました。
エンカレッジファーミング 株式会社
会社概要
▷代表者/近藤 敏雄 様
▷所在地/新潟市西蒲区松野尾468
▷事業内容/ミニトマトの生産出荷、野菜・花苗の生産出荷、ミニトマトの加工品製造販売
▷創業/平成25年
▷HP/https://encouragefarming.jp/
「ミニトマト総合企業」への成長プロジェクトと規格外ミニトマトを利活用した新商品開発
Q1:事業内容を教えてください。
西蒲区越前浜にてミニトマトを中心に生産、加工販売を行っています。日本海側最大級といわれる2ヘクタールのミニトマト専用ガラス温室「H&B Garden」で年間400tのミニトマトを生産しています。
厳選されたミニトマトは、健康(Health)と美(Beauty)の頭文字をとった「H&Bプレミアム」ブランドとして新潟県内のスーパー等で販売しています。食べると「甘味・程よい酸味・旨味」が順番に口の中に広がるトマトです。ガラス温室内で、システムで室温、湿度、二酸化炭素濃度等を管理して育てられたミニトマトは平均糖度8度以上と甘く、室内で外の風の影響を受けないため皮が薄く食べやすいミニトマトとなります。ミニトマトにとって快適な環境で育てられることで、ミニトマト本来の味を引き出すことができます。
ミニトマト生産の他にも、ホームセンター向けの野菜・花の苗の生産や、6次化商品としての加工品ブランド「Tomato Dining」の事業も展開しています。
Q2:利用のキッカケとなった“悩み“は何ですか。
お土産用として6次化商品を販売していますが、コロナ禍、物価高騰により売上が減少していました。そこで、社内の加工品事業を更に発展させるための、コンセプトを新たに設定した商品が必要になりました。「家庭で普段使いができる商品」「食べて健康になれる商品」「自社に価格決定権がある商品」という3つのコンセプトを掲げた商品開発を進めるとともに、企画から販売までを一手に行う「農業版のSPA」を目指しました。そんな開発の中で目に留まったのがこのブーストアップ補助金です。
Q3:IPCを活用して何に取り組みましたか。
「生産者から農業版SPAへシフトし”ミニトマト総合企業”へ成長プロジェクト」と題して商品開発に着手しました。農産物を生産して終わりではなく「誰に、何を、どのようにして、どのようなメッセージを込めて、365日提供するには」を農家が考えるモデルケースを目指しています。また、SPAという体制をとることによって、年間20t発生してしまうミニトマトの規格外品を有効活用しつつ、企画・製造・販売までを一手に行うので自社で主導権を持ちながら収益を上げることが可能となります。
商品は新潟薬科大学と共同開発している「無水・無加塩・無添加」のトマトスープをベースに開発を進め、①商品の試作、②商品パッケージのデザイン作成、③フードメッセへの出展、④チラシ・ポスターの作成を行いました。スープの他にも、トマトパスタ、ドライトマトを並行して試作しています。単一の商品のみで勝負するのではなく、最終的にはトマトを軸とした複数の商品で棚を獲得・販売することを見据えた商品展開となっています。
「無水・無加塩・無添加」という特徴のあるトマトスープですので、ターゲットも具体的に設定し、健康志向の人/コロナ禍で健康志向になった人、安心安全な食を求める人、に設定し「食べるデトックス効果」を謳っています。
販売先も商品のコンセプトに合わせ量販店には置かず、味・価格のみの比較とならないよう良質な物を求める健康志向の消費者が利用する高品質スーパーを想定し商品開発を進めてきました。
Q4:取り組んだ結果、どのような成果が得られましたか。
コンセプト通りトマトスープとそのパッケージ、ポスターデザイン等を完成させ、11月に開催されたフードメッセへ出展しました。フードメッセ内では、6次化大賞の大賞を受賞することができました。賞を頂いた企業様とは商談を重ね、開発したスープの売り先やミニトマトを使った加工品も検討していきます。
今までと全く違うことをやっていたわけではなく自社の軸に沿って継続して行ってきた訳ですが、自社の作るミニトマトの食味と共に、健康と美を追及しお客様に幸せになってほしい(「健康(Health)と 美(Beauty)」)という点が、大賞を受賞したという評価に結びついたのではと考えています。
Q5:今後の展開を教えてください。
「農業版SPAを目指すプロジェクト」ということで販売までがSPAなのですが現時点ではまだ初期段階で、まずは「エンカレッジファーミングのトマトを知ってもらう」というステージにいます。「エンカレッジファーミングのトマト」の認知を図ったのち、次のステージとして自社工場を作りミニトマトの加工品製造の内製化に取り組む予定です。
引き続き、ミニトマトを通じて提供する「お客様の健康と美の発展」に寄与していきたいと考えています。
利用した支援メニュー
令和4年度食の商品開発補助金を活用。