2016.04.15
食の技術コーディネーター 椎葉 彰典
4月7日にセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEO(83)が、決算説明会の席上で「引退を決意した」と述べ、役職から退く意向を明らかにされました。細かい経緯などは、これから明らかになっていくでしょうが、かつて食品流通業に身を置いていたものとしては、かなり衝撃的な出来事でした。
鈴木氏は、言うまでもなくセブンイレブンの基盤を作った方で、その手法や考え方は、日本式精神論的なものとは大きく異なり、いつも勉強させていただきました。
そのひとつに「仮説-検証」のサイクルがあります。これは、顧客満足を最大限具現化するために、経営を左右する発注に対し顧客ニーズなどの「仮説」を立て、仕入れて、しかも責任を持って売る「検証」を行い、さらなる「仮説」を立ててサイクルを回していくことです。その繰り返しの結果、顧客は、自分たちのニーズに応える商品が豊富に品揃えされている店だと満足し、今後も引き続き利用しようと考える。というわけです。
★今回のキーワードは、『仮説に矜持を持つ』です★
ネット流通の覇者、AmazonのCEOジェフ·ベゾス氏もまた、顧客満足に最重点を置く素晴らしい企業を作るという確固とした意志を持ち続け、たった4人で始めたオンライン書店も、今や世界でもっとも大きなオンライン通販サイトへと進化しました。彼の母校・プリンストン大学の卒業式でスピーチした際、こう投げかけています。
「何もせずに、他の人と同じことをしますか?それとも、やりたいことを挑戦しますか?」、
「できないことの言い訳や批判ばかりをしますか、それとも実際に行動に移しますか?」、
「あなたがその時に何を選ぶか?あなたはその選択に誇りを持つことができますか?あなたの毎日の決断こそが「あなた」をつくっていきます。」
ジェフ氏は、また、こうも述べています。「最終的に私は挑戦することに決めました。挑戦した結果失敗したとしても後悔はしないだろうと思ったのです。それよりも、ここでやってみなければ一生後悔するだろうことは確実でした。色々考えた結果、私は安全ではない道を選びました。そしてこの道を選んで本当によかったと思っています。」と。
人は「仮説」を立てる際、それをした場合としない場合と「選択」をしています。
フィールドの違う両社ですが、ともに「仮説」や「(変化をおそれない)選択」に対し、失敗をおそれずに実行していくところがとても興味深く思えました。
みなさまも、変化や失敗をおそれず、「仮説」に誇りを持って立て、行動し、検証してみませんか。そうすれば、新たな道が開けてくるかもしれません。
IPCビジネス支援センターでは、みなさまとともにビジネスにおける「仮説」の検討などのお手伝いもさせていただきますので、お気軽に相談して下さい。