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2023.11.15

「手に取ってもらう」ために必要なコト

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 

秋の行楽シーズンでもある11月。コロナが5類に移行したことで移動制限が緩和され、これまでより、ちょっと足を延ばしてお出かけをされる方も増えていると思います。

お出かけ先で、お土産を買われる機会があると思いますが、みなさんはお土産を選ぶ時、どんな点が決め手になりますか?

 

先日、岩手県盛岡市と、盛岡市に隣接する町へ旅行に行ってきました。盛岡(岩手)の名物・お土産といえば、冷麺、じゃじゃ麺、かもめの玉子、南部せんべい、ごま摺り団子、三陸海岸の海産物、小岩井農場の乳製品などが、定番といったところでしょうか。

福田パンや「タルトタタン」のお菓子たち、「チロル」のチーズケーキ、「光原社」のくるみクッキーを挙げられる、通の方もおられるかもしれませんね。

今回、私は、“子馬のポルカ“と、”黒糖もち“という、初めて知ったお菓子をお土産として買ってみました。

 

ひとつめの“子馬のポルカ”は、盛岡の土産品統一ブランド「もりおか おみやげプロジェクト『MOYANE(モヤーネ)』の取組みとして作られたお菓子とのことです。

 

このプロジェクトは岩手銀行が運営する地域商社「manordaいわて」と、岩手県内のデザイナー・クリエーターが参加する団体「岩手アートディレクターズクラブ」が共同で立ち上げたものです。既存商品のリブランディングや新商品の開発を通じ、商品の魅力の再発見や、新たな需要の創出、消費の促進を目指している取組みです。

 

“子馬のポルカ”の元となる、“馬ッコ最中“は、昔から盛岡土産の定番だったようですが、オリジナル商品の方は、正直、時代を感じざるをえないデザインです・・・。

一方、リブランディングされた“子馬のポルカ”は、お菓子の断面もデザインの一部としてパッケージされ、つい手に取りたくなるデザインです。

 

ふたつめの“黒糖もち”は、盛岡市の隣町・岩泉町にある「道の駅いわいずみ」で店内をウロウロしている時に、偶然出会った地元の女性に勧められました。

 

「このお菓子は、岩手県庁が認定する“食の匠”が作ったお菓子で、土曜日しか買えないから、ぜひ買っときなさい!」と強烈に勧められました。初めて見るお菓子で、どういった食べ物かわからなかったのですが、(岩泉の方、ごめんなさい)、この女性に熱く勧められなかったら、買い物かごに入れる事は無かったと思います。

購入後、早速食べてみましたが、あまじょっぱい味付け、もっちりした食感で大正解です。

 

私がこの2つのお土産品を買った理由、購入した時には気づいていませんが、振り返ってみると次のような共通点がありました。

 

 ◎子馬のポルカ

  ・地域商社と、老舗のお菓子屋さんが協力して行っているプロジェクト ⇛ 安心感

  ・盛岡の人たちが協力して取り組んでいる活動 ⇛ 共感

  ・盛岡駅の商業施設や、市内の観光施設で販売されている ⇛ 買いやすい

  ・「盛岡と言えば、ちゃぐちゃく馬っ子」、デザインが可愛い ⇛ 旅の思い出

 

 ◎黒糖もち

  ・地元の人(それも強烈なリピーター)から勧められた

   県庁が認定した「食の匠」が作っている ⇛ 安心感

  ・地元食材を使い、昔から地元で食べられていたお菓子の伝承 ⇛ 共感

  ・1100円という価格 ⇛ 試しやすい(買いやすい)

  ・なかなか行けない場所で、週1回しか売っていない ⇛ 旅の思い出

 

「黒糖もち」の購入動機は、餅系の食べ物が大好きな私の個人的趣向も強く反映されていますが、こうやって整理してみると商品の購入決定に必要な要素が、両方の商品とも共通していることがわかります。

 

 ・どうやったら、お客さまに“安心感”を持ってもらえるか?

 ・どういう商品やサービスが、お客さまに“共感”してもらえるか?

 ・興味を持ってくれたお客さまが、“スムーズに購入”できるか? 試しやすいか?

 

といった「お客さま」視点で商品づくりを行う事は、どの商品・サービスにも通じる、重要な点です。また今回は、お土産ということで、この要素に「思い出」や「話のネタ」という要素が加わっています。

 

パッケージ改良や、新事業で販路拡大を狙う取組みを検討される際、

・その取組みは「お客さま」が主語になっているか?

・「お客さま」の為になっているか?

を、見つめなおすことで、その取組みの成功確率が高まるのではないでしょうか。

 

ぜひそういった「商品・サービスを再確認する」場面でも、IPCの窓口相談や、各種補助金事業をご利用いただければと思います。

 

美味しい食事、帰ってきた後も思い出を持ち帰られるお土産と、満足感が高い今回の旅行でしたが、ある料理店のシェフからお聞きしたお話も思い出に残るものでした。

東日本大震災の時に、世界を代表するシェフたち(アラン・デュカス氏、ピエール・ガニェール氏、河田 勝彦氏等)が、被災された方への炊き出し等の支援で、マスコミに取り上げられていない寄り添った活動を、いかに丁寧にしてくれたかを教えてもらいました。

緊急時のリーダー達の行動力、といった内容で、また別の機会にでもご紹介できればと思います。

 

 

◇もりおかおみやげプロジェクト“MOYANE

https://moyane.jp/

 

◇岩手県 食の匠

https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/nougyou/takumi/

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