プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
みなさん、ポケモンは好きですか? そして、好きなポケモンは何ですか?
8月11日~13日に、日本初の「ポケモン・ワールドチャンピオンシップス(ポケモンWCS)2023」が、横浜・みなとみらいで開催されました。このイベントに併せて、大量のドローンによる“ポケモン”イルミネーションショーが行われる、ということで見にいってきました。
会場の最寄り駅である、「みなとみらい」を降りると、そこはもう“ポケモンワールド”一色です。
・カフェの扉に描かれた、“隠れピカチュウ”のデコレーション
・自動改札を通ると、ピカチューの鳴き声が聞こえる
・多数の黄色の生花で飾られた、フラワーカーペット状の巨大ポケモンカード
など、様々な展示の種類と量に驚かされましたが、一番びっくりしたのは、頭にはピカチュウのお面、手にはポケモンショップのショッピングバックを持った、大量の外国人(恐らくほとんどがインバウンド客)で駅周辺がごった返していることです。
古くは「一休さん」や「ドラえもん」、そして「キャプテン翼」などが、日本を代表するアニメ、キャラクターとして海外でも人気を博し、「ポケモン」もその文脈の流れにあるコンテンツであることは誰もがご存じでしょう。個人的には今回の“みなとみらい”での体験は、「世界中で超・愛されているポケモン」を具体的に感じられ、「ポケモン・ブランド」の浸透度を強く感じた時間でした。
皆さんは「ブランド」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
LとVを組み合わせたロゴが有名なフランスの鞄メーカーや、イギリスの諜報機関のスパイが、秘密兵器の一つとして使っている腕時計のメーカーなどを「有名ブランド」としてイメージされた方が多いのではないでしょうか。
またマーケティング用語で「ブランド想起」という言葉があります。これは、「美味しいお米」と聞いた時に「新潟のお米。さらに南魚沼産や佐渡産、岩船産コシヒカリなら、より最高!」という風に、商品カテゴリやサービスカテゴリを聞いた時に、具体的な商品名や会社名が思い浮かぶ状態の事です。「ブランド」や「ブランド想起」と言われても、世界的な鞄メーカーや腕時計メーカーだけができる事、と思われた方もおられると思いますが、果たしてそうでしょうか?
先日、創業期からIPCをご利用いただいている事業者さんが窓口相談に来られ、集客状況について一緒に現状を分析していた時のことです。「そういえば、この前、青森県の人が“インスタグラムを見て来ました”、と来られてびっくりしたんですよ」というお話をしてくれました。事業者さんご本人としては、「なぜ青森の人がわざわざ?」と、本当にびっくりされての発言だったのですが、この事業者さんが、日々発信されている情報や、発信方法を拝見させていただいていた私としては、そういうお客さんが現れてもおかしくないだろうな、と別の感想を持ちました。この事業者さんは調理器具のメンテナンスを行う事業をされていますが、HPやインスタグラムを使ってサービス内容を発信されている他に、毎週1回“インスタライヴ”をされ、
・いかに、自分がこの仕事が好きか
・ご自身が扱われている商品、サービスのどこが好きでお勧めポイントか
・商品を長く使っていただくための、取り扱い方法のコツについて
等の情報を、発信されています。
もちろんHPもご自身の熱い想いが伝わる内容で作られているので、そんな情報に触れた“青森のお客さん”が、「この商品について相談したいので、わざわざ新潟に行って事業者さんに会いたい!」と思って行動に移された、と想像するのは難くないのではないでしょうか。
これは、青森のお客さんにとって、ご相談者さんのサービスが「ブランド化」された、具体例の一つと言えます。
ご自身の取り扱い商品やサービスを、鞄メーカーや時計メーカーのような“世界的ブランド”にする、というのは様々なハードルがありますが、
「新潟で〇〇と言えば△△」と、地域内のお客さんの頭に店名が浮かぶこと
「ラーメンを食べるなら、□□、▲▲、〇〇の中から選ぶ」と選択肢に入ること
などのように、「想起してもらう」こと、また、「選択肢に入る事」を目標に、情報発信や接客を見つめなおし、販路拡大の一つの方法として試されてはいかがでしょうか。
「想起してもらうために」どのような切り口で情報発信のネタを選ぶか、どのような方法で情報発信を行うと効果が期待できるか等、業種や業態で異なりますので、ご興味のある方はぜひお気軽にIPCの窓口相談をご利用いただければと思います。
さて私の好きなポケモンですが、決めるのはなかなか難しいですね。
“カビゴン“の、のんびりさも好きだし、”ポッチャマ“の可愛らしさも捨てがたい・・・。
でも、やはり鳴き声の可愛さも含めて“ピカチュウ”が一番でしょうか。
◇ブランド想起についての解説(ここでは狭義の“純粋想起”という言葉で解説しています)
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12295.html