プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
見聞きしない日はないぐらい“リスキリング“という言葉が注目されています。
「リ・スキリング?」、「リスク+ing?」、「リス、Killing?」 と、最近までどこで切ればよいか私は知らなかった、ということを最初に白状しておきます。
正しくは“Re-Skilling”で、経済産業省の説明によると、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること」となります。
私はなんでも流行りのモノを試したい性分なので、「アメリカでは認定証を受けた75%の人が、6カ月以内に昇給や新しい仕事の機会を得た」というオンラインプログラム”Google Career Certificates“が提供する「Googleデータアナリティクス プロフェッショナル」コースを受講してみました。
◎コースの内容
動画視聴、ワーク、確認テストを通じて、初歩的なデータアナリスト業務に必要な内容が学べます。全体は8つの章で構成されており
1~2章 “データ”に基づいた意思決定を行うためには(講義中心)
3~5章 データの取り扱い手法(表計算ソフト、DBソフト、SQL言語の操作)
6章 データの可視化(ビジュアライゼーション)と、データの共有(Tableauの操作)
7章 プログラミングを組み合わせたデータ分析(Rプログラム言語の操作)を
8章 学びの総仕上げ
となっています。内容別で整理すると
・データの取り扱いに関する考え方と知識の習得
(データクリーニング、データ分析、データの可視化)
・データ処理ツールの操作スキルの習得
(表計算ソフト、DBソフト、SQL言語、Rプログラミング言語、Tableau)
と大きく2つの内容に分かれています。
◎実際に受講してみて
<受講環境>
インターネットが繋がる端末であれば、PC、タブレット、スマホどれでも受講できます。動画(日本語字幕あり)に合わせて、日本語テキストも表示されるので、英語が苦手でも大丈夫です。
ただし、ツールの操作・ワークがあるパートでは、講師の操作を見ながら自分でも作業を行うと、より理解が進みますので、できれば講義視聴用と操作用の2台の端末を用意した方が取組みやすいです。
<カリキュラム>
考え方の認識合わせ ⇛ 講義 ⇛ ワーク(他の受講者との情報交換含む) ⇛ 確認テスト、という流れで進むので、「これ、何のためにやってるんだろ?」という思いを抱かずに作業を行えるのはいい所です。
例えば1章では、「データを分析する時の心構え」のような考え方の説明から始まり、「そのためにはデータがどのような状態であることが最適か」、「そのために必要な作業は」というインプットの講義の後に、実際にツールを使っての作業、そして最後に確認テストという流れになっています。
<終了までに必要な時間と費用>
公式サイトでは、「受講時間は平均180時間以上で、プログラム終了までの目安は週10時間受講した場合、約6カ月間」となっていますが、これは受講する方の、これまでのデータ取り扱い経験、各ツールの得意不得意によって左右されるなぁ、というのが実際に受講してみての実感です。
後で述べますが、「“リスキリング”に取組む理由とは?」という、そもそもの理由を考えると、受講時間の大小より、「どういった能力・視点を身に着けたいか」という点を大事にして、その人のペースで進めればいいと思います。
必要な費用は、受講料・月額39ドルとなっていますが、不定期で実施される「日本リスキリングコンソーシアム」サイトを通しての無料受付枠であれば、無料で受講できます。私の場合、1回目・2回目の無料受付枠の申し込みに間に合いませんでしたが、3回目で無事に申し込みができました。
◎全体的な感想
個人的には“Rプログラミング言語”が全く初めてだったので、初歩的な用語の理解から苦労しました。ただしオンラインプログラムの良い部分でもある、何度でも復習できる、わからなければ検索して調べるということができるので、何とか受講終了までたどりつくことができました。確認テストはなかなか合格点に届かず、何度も受けましたが・・・。また確認テストは1度不合格になると、24時間経たないと再試験を受けられないのは厳しい部分です。
今回、無機質なデータを視覚化してくれるツール「Tableau」を初めて触りましたが、このツールは凄いです!! グラフや地図が簡単な操作でグリングリン動く様子を、ぜひ皆さんにも体験していただき驚きを共有したいところです。
“リスキリング”は新たにツールが使えるようになることも目的ですが、このプログラムは、基礎となる「データ主導の経営判断の大切さ」「バイアス(偏見)を持たないデータ分析の視点」等の新しい視点と考え方が体系的に学べると感じました。
またアメリカでは転職プログラムの1つとして位置づけられているからか、「面接時のプレゼンのコツ」「プレゼン資料の作り方のコツ」というコンテンツも含まれているのは、面白かった部分です。
“リスキリング“にどのように取り組めばわからない、という方も多いと思いますが、無料で受講できるコンテンツも増えてきていますので、ご自身の興味がある分野で無料コンテンツがないか、を探すところから始められてはいかがでしょうか?
◇日本リスキリングコンソーシアム
https://japan-reskilling-consortium.jp
◇Google データアナリティクス プロフェッショナル認定
https://jp.coursera.org/professional-certificates/data-analytics-japanese