プロジェクトマネージャーの百合岡です。
多くの方にお伝えしていますが、ビジネスの成功は、顧客が求めるものを作り、求める顧客に購入してもらうことにつきます。
企業の成長には、顧客ニーズを満たせる商品やサービスの開発が必須です。しかし、顧客の大半が自らのニーズを把握していませんし、仮にニーズが明確だったとしても、それを満たせるものを開発できるとは限りません。なぜなら、顧客ニーズといっても「今あるものをより良く、より安く」というのが大半を占め、今まで見たことのない革新的なものを求めているという人はほとんどいないのが実態です。だからこそ商品アイディアを探るためのアンケート結果の有効性が低くなっています。
売る側に目を移すと、顧客ニーズを満たせるものが開発できたとしても、求めている顧客が売っていることを知らなかったり、売り場がわからなかったり、高額すぎて手が出せなかったりなど、さまざまなミスマッチが原因で思ったほど売れないことも多くあります。顧客ニーズを満たせるものなのに売り方を間違えてしまったために売れなかった場合でも、売り方を見直すのではなく、ものがダメだと結論付けてしまうケースが見られます。
★ 今回のキーワードは、『 「作る」と「売る」 』です ★
図に示したのは、横軸に、現在のヒトや設備などで作れるものと新たに投資などしてでも作りたいもの、縦軸に、作ったものが売れるか売れないかで区分することで、それぞれがビジネスに与える影響を分類したものです。
企業が作りたいものを作り、それが顧客ニーズにマッチし、売れるのが良い状態なのは言うまでもありません。実際、新しく開発されるものの多くは、企業が作りたいものではないかとも思いますが、売れなければ経営にマイナスの影響を与えてしまいます。
企業の成長にチャレンジは不可欠ですが、比較的容易に作れる、あるいは、現在作っているもののなかから売り方を見直すことなどで売れる商品はないか確認してみてはいかがでしょうか。
企業には売り方を間違えていたため売れなかった商品が埋もれているはずです。
消費者は、実際にものを見なければ自分に必要なものかどうか判断できませんし、以前は売れなかったとしても、ニーズが多様化していますので別のところでは評価されるといったこともあります。このように、思ってもなかったところにニーズがあることに気付かされたり、ときには、時代が早すぎて売れなかったという商品もあるのではとも考えます。
経験や先入観で決めつけず、商品の良さを再定義したうえでPRしてみてはいかがでしょうか。
すると、作れるものを売ることで目先の売上を確保しながら、少し先の変化を見据え将来の売上を獲得できるもの作れる、つまり、作りたいものづくりに取り組むだけの余裕を持てるようになります。このような対応により、絶えず「作る」と「売る」を同時にこなす企業活動が実現できます。
新年度を目前に迎えている時期だからこそ、足元をていねいに確認してみてください。自社のなかに成長戦略のヒントを見つけられるかもしれません。