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2022.06.15

“伝える”と“伝わる”の境界

 プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

  6月といえば梅雨。今年は例年より早く梅雨入りする地方が多く、ニュースで雨に関する話題を目にすることが多くなってきました。6月の和風月名(わふうげつめい)は「水無月」。「田に水を引く月」という意味ですが、数字の表記だけでなく、その時節ならではの様子を表した名前もある日本の文化は、季節の移り変わりを感じられて良いものだと思います。 

  最近、「名前」に関するあるニュースが報じられました。 

 国の法制審議会が漢字本来と異なる「キラキラネーム」などの読み方を、どの範囲まで認めるかについて中間試案をまとめた、というニュースです。新聞では「光宙(ぴかちゅう)が認められる!」と取り上げられましたので、驚かれた方もいたのではないでしょうか。 

 「名前」にまつわる有名なエピソードに、宮崎駿作品の「“の”の法則」があります。日本テレビの映画プロデューサー・奥田誠治さんが提唱された法則ですが、「宮崎駿作品で“の”が付いた作品はヒットする」というものです。 

 代表的な作品を挙げてみると「ルパン三世 カリオストロの城」、「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」、「紅の豚」、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」など、どれもヒットした映画名が並び、実際の興行成績だけでなく、記憶にも残る作品群なので納得の法則です。

 「もののけ姫」は原題だった「アシタカ𦻙記(せっき)」から変えられた、という逸話は、この法則の信ぴょう性をさらに高めていると思います。 

 「名前を付ける」という行為が重要なことは、宮崎駿作品のような大規模なビジネスだけでなく、みなさんの日々のビジネスの中でも見つけることができます。 

・事業所名、店名、商品名をどうしようか?

SNSで情報発信する際、どんなキーワードを入れようか?

・補助金の申請書類に記載する「事業名」をどうしようか? 

 このように見てみると、「名前を付ける」という行為には、「自分のことを第三者にわかってもらう」という要素が重要だということがわかります。 

 電通でコピーライターとして活躍されている阿部広太郎さんが、「“伝える”と“伝わる”」は異なる、というお話をされています。阿部さんは“伝える=主観”、“伝わる=客観”ではないか、と述べ、そして、言葉のプロである阿部さんでさえ、この2つの言葉の間を隔てる“境界”で「この言葉はどちら側の言葉か?」と日々もがいている、と述べています。 

 言葉のプロではない私たちが「客観性を持った言葉を使えているか」を確認するにはどうすればいいでしょうか。 

  独りよがりになっていないか?

  伝えたい想いがきちんと伝わる表現になっているか? 

  なかなか自分一人では難しい作業ですので、一度でも他の人に見てもらうだけでも“境界”を超えるヒントが見つけられると思います。もちろん、「IPCで一度見てもらいたい」というご相談、大歓迎ですので、お気軽にお問合せいただければと思います。 

 629日(水)に開催するIPCビジネスセミナーでは、日本酒を使った新しい試み「浄酎(じょうちゅう)」プロジェクトに取組む、ナオライ株式会社・代表取締役 三宅紘一郎氏からお話を伺います。 

 「浄酎」という聞き慣れないキーワードを使って、どのように協力者を巻き込んでいったのか?

  将来、検討されているという、「浄酎」の全国展開とは? 

 社名の「ナオライ」、社是の「時をためて、人と社会を醸す」など、自分の想いを言葉に込めて事業展開をされている三宅氏から、取組まれている事業だけでなく、想いが「伝わる」ためには、という観点でもお話をいただき、ビジネスのヒントを探る予定です。 日本酒にご興味のある方はもちろん、地方発のビジネス創出にご興味のある方にご参加いただければと思います。

  毎月お送りしているこのコラム、「見出し」の第一案は私自身が考えますが、校正時にIPCのスタッフが「こちらの方が、よりしっくりくるのでは?」と提案してくれ、変更することが少なくありません。今月のコラムの見出し、松井案なのか、スタッフ案なのか?

 ご興味のある方はIPCまでお問い合わせください。

 

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