プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
今年1月からスタートしたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。過去の大河ドラマでも「新選組!」、「真田丸」と記憶に残る脚本を書いた三谷幸喜氏が、「北条義時」という、これまであまり人物像を知られていなかった武将を主人公にしたドラマです。約1年をかけて、鎌倉幕府が形作られていく過程をどのように描いていくのかが楽しみです。
私の実家がある京都府八幡市に鎮座する“石清水八幡宮”は源氏に縁が深い神社です。源氏台頭のきっかけを作った源義家や、源平合戦で活躍した木曽義仲が参拝した、という言い伝えを小学校の授業でも習うので、「鎌倉時代」は個人的に大変親近感があるところです。
源氏・鎌倉幕府と新潟の関係で言えば、源義経が京から奥州に落ちる際、「義経記」には、糸魚川から村上まで新潟県内を横断した記述があり、県内各地に義経伝説が残っています。他にも、たった数日ですが木曾義仲が“越後守”を任ぜられたこと、朝廷が倒幕しようと起こした“承久の乱”で敗れた順徳天皇が、佐渡に流されたなど、繋がりは少なくありません。
今回のコラムを書くために調べていて分かったことが、「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時の次男・北条朝時が、越後の“守護”(日本史の授業で「守護・地頭」とセットで覚えましたね)、そして“越後守”を務めていたということです。新潟ゆかりの北条朝時を、三谷幸喜氏がドラマに登場させるのか、そして登場させるなら、どんな俳優を充てるのかと、ドラマを見る楽しみが一つ増えました。
さて、源頼朝が幽閉の身から蜂起し、苦労しながら平氏を破って成立した鎌倉幕府ですが、源氏宗家の実権は3代で絶えます。その後は北条氏が執権として実権を握り、約140年間続きましたが、どうして源氏宗家による統治は続かなかったのでしょうか?
鎌倉幕府の後にできた室町幕府では、途中から形骸化したとはいえ、将軍家である足利家と管領・3家による協力体制、江戸幕府では同じく将軍家である徳川家と御三家・御三卿・親藩との協力体制が、「幕府」という政治機構の維持と将軍の跡継ぎの輩出に大きな役割を果たしたのではないか。そしてそれは、源氏宗家が3代で絶えたことを教訓にしたからではないか、と個人的に思うところです。
これを現代に置き換えると、事業承継や新事業創出が円滑に行える準備を日頃から行っておくことは、事業所の継続性を高めるためには必須、と言い換える事ができるのではないでしょうか?
事業承継では、現経営者の思いと後継者に求められる資質の整理、適任の後継者探し、当事者以外の関係者の賛同が必要等で、実行までに時間がかかる例をよく見聞きします。
また、新事業創出は現在の事業を行いながら、新たな分野や市場に挑戦するというリスクを背負い、限られた事業資本を割く場合が多いため、スタートまでの準備、経営者の決断が求められます。
鎌倉幕府2代目将軍の頼家は、頼朝の突然の死をきっかけに18歳で就任。3代目将軍の実朝は、頼家がたった1年で将軍職を追放されたために12歳で就任。両名とも本人としては跡を継ぐ準備(教育)が十分でなく、そして周りに頼りになる補佐役がいない状態での就任だったのではないでしょうか?
一方、足利家・徳川家では、代々の跡継ぎを生み出す有効なバックアップ体制が取られていたのではないでしょうか?類推の域を出ませんが、「事業所の継続」という面から見ると足利家・徳川家が取った方法に利があることがわかります。
新潟市では、事業承継や経営資源引継ぎを図ろうとする中小企業を支援するため、準備に係る企業価値評価・マッチングの経費の一部を補助する「新潟市準備型事業承継・引継ぎ補助金」を令和4年3月1日から受付開始する予定です。後継者確保に向けた人材紹介サービス利用料、M&A着手に伴う案件化費用等、マッチングに係る経費に利用できる予定です。詳細は受付開始日の3月1日に発表ですので、申し訳ございませんがもう少しお待ちください。
また、IPC財団では令和4年2月18日(金)に「新事業ブーストアッププロジェクト」として、レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長の藤野英人氏を講師にお招きし、「地方にこそ、事業創出のチャンスあり」と題した、オンラインセミナーを開催します。新事業創出に関心がある現役経営者、後継者、社内起業家、若手リーダーの方々が事業創出のヒントを得られる内容となっています。
鎌倉時代の武士たち(御家人)が、「いざ鎌倉」となった際、武勲を挙げて恩賞を得るために、日頃から流鏑馬などで武芸の鍛錬や準備を怠っていなかったように、現代の武士(もののふ)である皆様も、ぜひセミナーや補助金を利用して、事業承継・新事業創出の準備に取り掛かっていただければ幸いです。
石清水八幡宮は、鎌倉のシンボル「鶴岡八幡宮」が勧請を受けたお社であること、鎌倉時代に活躍した吉田兼好が記した“徒然草”の「仁和寺の和尚」の舞台であること、平成28年に国宝に認定されたこと、エジソンが発明した電球のフィラメントとして八幡宮近隣の竹が使われた、などなど、たくさんのエピソードを持つ歴史ある神社です。ぜひコロナが収まり旅行ができる状況になりましたら、八幡市にお越しいただければ、と最後に“ふるさと自慢”をさせていただき、今回のコラムを終えたいと思います。
◇新潟市準備型事業承継・引継ぎ補助金
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/jigyousha_covid19/jigyosyokei_hikitugi.html
◇「2040年の日本経済の見通しと地方創生〜地方にこそ、事業創出のチャンスあり〜」