プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
「でーれー、でけー“でーこん”、てーてーてー」
「こけーけー、こけー」
冒頭から日本語か? 何が書かれている? と疑問に思われる方が多いと思いますが、これらは岡山弁の特徴を表す時によく使われる例文です。甲信越地方の新潟と、中国地方の岡山は、地域が全く異なる事、直通の交通機関がない事などから日頃接点が少なく、新潟の皆さんにとってはチンプンカンプンの言葉ではないでしょうか。
11月から始まったNHK・朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の最初の舞台は岡山。学生時代を岡山で過ごした私としては、毎朝、テレビから流れてくる岡山弁を耳にし、懐かしい気持ちになります。
主要な役に岡山出身者、岡山に隣接する広島県福山市出身者を充てていることもあり、流暢で違和感のない岡山弁に、ニンマリしてしまうシーンが多々あります。
同じように大阪弁の特徴を表す例文として
「あれ、“ちゃうちゃう“、ちゃう?」
(あれは、チャウチャウ(犬)では、ないですか?)
「ちゃうちゃう! “ちゃうちゃう“ちゃうで!」
(違います、違います。チャウチャウ(犬)では、ないです!)
がありますが、こちらはテレビでもよく紹介されるため、皆さんも聞かれたことがあり、意味はわかるのではないでしょうか。
最近は減りましたが、以前はテレビで大阪人がインタビューを受けているシーンで、音声は大阪弁を流しているのに、標準語が字幕として出る時がありました。意味は合っているのですが、話し手が伝えたいであろうニュアンスがスッパリ切り取られてしまい、「ちょっと違うよなぁ」と違和感を受けた記憶があります。このように、「言語化」された情報に付随する“ニュアンス”は、その人の個性を表したり、伝えたい“気持ち”を表す重要な役割を果たしているのではないでしょうか。
IPCにご相談者さんに来られる方とお話をしていて、「やりたい事が頭の中にあるけれど、上手く言葉にできない」というご相談を受ける時があります。そんな時は、次の順番で想いを表現していく方法をお勧めしています。
① まずは頭に浮かぶ事を、単語や箇条書き、イラストでいいので紙に書いてみる
② 書き出した単語・イラストを線で結んだり、グループ化して簡単な図で表現してみる
③ ご自身がイメージしているモノや空間に近い画像やイラストをネットで探す
④ ②と③で集めたモノを「自分の言葉」で表現する
ご自身の思いや考えを、他者に伝えたい時、相手に伝わる言葉・表現が大切なので、一般的な表現や、定型句を使うのも一つの方法ですが、まずはこのような方法を使い「自分の言葉」で具現化することで、ニュアンスを含めたご自身の思いが表現できると思います。
IPCが電通Bチームとコラボして開催している今年度の「未来想像部」、いよいよ最終章のセッション3:“コピーライティング“のフェーズとなります。
自分の考えを、他の人にわかってもらう表現
「伝わる言葉」の選び方
などなど、電通が誇るトップクリエイターから直接、「言葉で伝える技術」を学べるまたとない機会です。セッション1、2に参加していただいた方は、これまでのワークを形にする実践の場として、また、このセッションから参加いただく方も十分楽しめる内容となっておりますので、ぜひ、「自分の言葉」を紡ぎだす楽しさを体験していただければと思います。
申し訳ありませんが開催日時等詳細の発表は、もう少しお待ちください。
さて、このコラムの冒頭で紹介した岡山弁は、次のような意味になります。
「でーれー、でけー“でーこん”、てーてーてー」
(とっても、大きい“大根”を、炊いてください)
「こけーけー、こけー」
(ここに来てください、ここに)
デフォルメされた例文なので、日常でそんな表現使わないよ、と突っ込みが聞こえてきそうですが、朝ドラの中で出演者が「でーれー」や「けー」と言ってるのが聞き取れるか、注意して見てみると、また違った朝ドラの楽しみが発見できるのではないでしょうか。
◇未来想像部×電通Bチーム 『想像から創造せよ』