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2015.12.25

文化と産業

統括プロジェクトマネージャーの百合岡です。

いよいよ2015年も終わりに近づいてきました。何はともあれ、当財団とさまざまな形でご縁いただきましたみなさまへ感謝を申し上げますとともに、来年も変わらずお付き合いくださいますようよろしくお願い申し上げます。

さて、新潟ではまだまだ実感はありませんが、今年は株価はじめ多くの指標が好転するなど、数値からみる経済環境は上昇トレンドに入ってきているようです。来年はこのトレンドを引き寄せられるよう、積極的に新しいチャレンジに取り組んでいただきたいと思います。私どもでも、微力ですがこれまでと変わらず、みなさまのチャレンジや課題解決などのお手伝いに役立てるよう取り組んでいきたいと考えております。

本コラムでは、新たな一年を迎えるにあたり、次なるチャレンジを考えるキーワードとして「文化」と「産業」に焦点をあて、2回に分けお伝えいたします。

 

★  今回のキーワードは、『 文化と産業 』です  ★

 

1回目では、文化の観点から農業に焦点をあて考えてみます。

「なぜ農業が文化」だと思われるかもしれませんが、「農業の」という意味の「アグリ(agri)」と「文化(culture)」とが結合してできているのが「農業:アグリカルチャー(agriculture)」という英単語です。日本語にも、食文化や農村風景などといった言葉があるように、食の根本を構成する農業には、地域に根差したさまざまな文化が凝縮されていて、これからも繋いでかなければならない大切なものだと考えさせられます。

一方、漁業は「fishery industry」と英訳されます。この言葉には、「文化」と対局に位置付けられる「産業(industry)」という言葉が用いられます。ともに食に関する産業ですが、農業は文化、漁業は産業という言葉が用いられていることに、農業が産業として語りきれない何かがあるように感じます。

このようななか、日本の農業を、自動車・電機に次ぐ輸出産業に育てていく動きなど、「産業としての農業」を真正面からとらえたアグリビジネスにますますの注目が集まってくるように感じます。

食に関連する企業のみなさまは、このようなトレンドを追い風にしていただきたいと思います。

そうでない業種のみなさまは、事業を検討するキーワードにしてみてください。

歴史を重ねてきた会社には、守るべきものが増え、それが原因で企業が本来持っている競争力が失われていることがあります。守るべきものがあることは強みともいえますが、過剰になると疑問なく守られる前提条件となるため、それが自らの行動の制約してしまい、環境の変化に対応できなくなってしまう危険性すら出てきます。

本年取り組んだ窓口相談のなかに、新規事業の事業計画の策定支援を行った事例がありました。この会社では、すでに新規事業を実施すること自体は意思決定され、目標設定や具体策もおおよそ決まっていました。にもかかわらず、事業を開始してみないことには何とも言えないことにこだわったため、6か月以上も開始が停滞してしまいました。

企業の文化といってしまえばそこまでですし、何でもやればよいということではありませんが、事業の機を失ってしまうのではないかとも気をもむこともありました。今まさに、農業が文化から産業に変革しようとしているときだからこそ、企業においても過去の経験やタブーを捨て、視野や行動の範囲を拡大することで、来年、さらなる飛躍できる可能性を検討していただきたいと思います。

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