プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
週刊漫画誌の連載が終わった後にも、映画、コスプレ、はたまたシール付きお菓子にと大変な盛り上がりを見せている「鬼滅の刃」(以下、鬼滅)ですが、みなさんの周りでもハマっている人が多いのではないでしょうか?
私もブームに遅れてはならないと、アニメ26話と映画を2週間で一気に見てみました。1話の冒頭から悲しい場面や、残酷なシーンが続き、
「うーん、これは途中でギブアップかも・・・」
と思いましたが、物語が進むにつれ、ストーリーや登場人物に魅かれ、今や炎柱・煉獄 杏寿郎のファンになってしまっています。原作を最終話まで読んでいない“にわか鬼滅ファン”の私が、まだ見られていない方にネタバレにならないよう気を付けながら、大人も「参考になるなぁ」と思える「鬼滅」の見どころ3点を紹介したいと思います。
見どころ① 主人公・竈門 炭治郎の言動が、職場の良好な人間関係構築のヒントになる
物語に出てくる登場人物は全員クセがあり、人の忠告を聞かずにワガママ、一般的なコミュニケーションが取れないなどの理由で、数々のトラブルを引き起こす場面が何度もあります。しかし、そんな彼らに対して炭治郎は、自分に非が無くとも、自分の無力でそういったトラブルを起こさせてしまったと反省したり、自らの前向きな行動を見せることで、無理強いすることなく新しい気付きを仲間に与えて、彼らの行動を変えていきます。
少年向けアニメでよくある、すべての面において圧倒的な能力を発揮し、それによってメンバーを引っ張っていく主人公とは異なる描かれ方です。
更に彼の純真無垢な心、圧倒的な他者への優しさは、そういった大切なものをどこかに置き忘れてきてしまった私を含めた中年世代には、人として必要なものを思い出させてくれます。こういう心根を持つ人が会社にいてくれると、優しい空気に満ちた職場環境間違いないですね。
見どころ② “仕事でも、こんなことよくあるよなー”という問題の解決のヒントがある
仕事で発生した問題に、これまで取ってきたのと同じ方法で対応しても、なかなか解決できなくて苦労する、といった経験お持ちの方、多いのではないでしょうか?
「鬼滅」でも、決められた厳しいトレーニングをどれだけ積んでも乗り越えられない問題や、何も考えずにルーティンになっている事で物事が停滞してしまう場面が描かれます。
あるきっかけで、目的意識や取組み手法を変えることに気づいたり、問題の見方を変える事によって停滞が解消されていくのですが、その問題解決に至る様子が丁寧に描かれています。
このように、ちょっとした意識や視点のリフレーミングの具体例をアニメーションで見ると、腹落ちしやすいものですね。
炭治郎が問題解決のきっかけになる事が多く、彼は「できるヤツ」です。
見どころ③ グループのリーダー、構成員それぞれの立場で取るべき“リーダーシップ”の具体例が明確に描かれている
“リーダーシップ”には様々な説がありますが、ドラッカーは
「リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。」
と著書で述べています。
映画「鬼滅」のエピソードで、煉獄 杏寿郎のリーダーとしての言動、そしてメンバーそれぞれがリーダーの定めた目標に対して、自分に任せられた仕事をやりきることで難局を乗り越えていく姿は、ドラッカーの言わんとするリーダーシップ論に重なり、リーダーのポジションの方にも、そしてメンバーのポジションの方にも参考になります。
煉獄 杏寿郎、初めて登場するシーンから物語が動き出すまでは、能天気で周りとの会話も噛み合わず「ほんとうにコイツが、誰もが一目を置く最強の剣士なのか?」と思いましたが、物語が進むにつれ私の評価が浅はかだったことがわかり、まさに「穴があったら入りたい」気持ちです。そして彼はまだ20歳! 倍以上年上なのに、私は完全に負けたと思いました。
今回の「鬼滅」に限らず、「ヒットしているものを実際に体験してみると、気づかされることが多い」、というのが私の持論です。ヒットしているものというのは、人の心を惹きつけ、人が潜在意識としてもっていることを満たしている場合が多く、人々の心を魅了するのだと思います。私は友人から、ただの新しい物好き・流行りもの好きとも、よく言われますが、これからも常にアンテナを張り巡らし、皆様のビジネスシーンに少しでもお役に立てるように、『全集中常中』で支援を務めてまいります!