プロジェクトマネージャー 松井 俊輔
新型コロナウイルスは日本国内だけでなく、全世界で状況が収束しないばかりか、日々、感染国・感染者が増えています。新潟県内でも患者数の増加、飲食店の客足が落ちているというニュースを見聞きしない日が無く、皆さんも生活を送られるうえで陰鬱な気分が続いていると思います。
例年通りきれいに咲き誇る桜に目をやり、みなさんの日常に少しでも心の潤いが訪れればと思う毎日です。
今回の災害(とあえて表現します)と、ここ数年、日本の各地で起こった地震や水害、台風による災害が決定的に異なるのは、日本全国の地域がほぼ等しく影響を受けていること、「人の動き」が止められてしまっているという点です。そのため、これまで有効とされてきた災害支援・災害復興のツール(被災地への旅行に補助を出す、被災地事業者への事業用補助金)が機能しにくい状況です。 政府や行政の支援、地域外からの支援による効果は限られる、と言ってもいいかもしれません。
また、「誰も経験したことがない」「いつ収束するか誰もわからない」という、先が読めない不安を払しょくするは困難ということです。
そのような状況でも事業を継続していく(端的に言うと“生きていく”)ためには、
自分でコントロールが難しい部分と、コントロールできる部分を切り分け、自分でコントロールできる部分に全力を尽くす。コントロールが難しい部分はあきらめる。
という考え方、行動を取り入れてはどうでしょうか。
自分でコントロールが難しい部分と、できる部分の切り分けとして2つの属性で整理すると分りやすいと思います。
①事業の成果に関係する「要素」は何か?
例えば飲食店であれば、「1日当たりの客数」「客単価」「営業日数・時間」「メニューの見直し」「経費の見直し」「新しい収入源の検討」「国や県の緊急宣言のような規制」等が考えられると思います。
②それぞれの「要素」の振れ幅(不確定要素)はどれぐらいか?また自身で振れ幅をどれぐらいコントロールすることが可能か?
先ほどの項目を、振れ幅の大小、自身で振れ幅をコントロールしやすい順に並べると、次のように整理できるのではないでしょうか(参考例となる点はご容赦ください)。
①「メニューの見直し」 例:メニューの絞り込み、持ち帰り対応メニューの開発
②「経費の見直し」 例:経費の優先度付け、固定費削減の余地はないか
③「営業日数・時間」 例:来店客数やメニューの見直しから検討
④「新しい収入源の検討」 例:他店への卸
⑤「客単価」 例:数値目標を追わず、ファンづくり、応援者づくりの観点で施策を考える
⑥「1日当たりの客数」 ほぼコントロール不可能
⑦「国や県の緊急宣言のような規制」 コントロール不可能
このように整理してみると、自分でコントロールが一番難しい「国や県の緊急宣言のような規制」については、規制内容に対応する部分に最低限の経営リソースを使い、残った要素の中でコントロールが行いやすい、効果が上がりそうという観点で優先順位をつけて取り組む方向性が見えてくるのではないでしょうか。
すでに「ランチボックス」や「宅配」対応を始められている飲食店が増えてきましたが、これは、できる事の選択と実行を行っている一つの例です。
その他に効果があると考えられるものとして、
・大家さんや取引先に相談して、家賃・仕入れの支払いを待ってもらえないか交渉する。
ご自身の事業継続性が、大家さんや取引先にもメリットがある、という共存メリットを訴えるというのがポイントになるのではないでしょうか。
・新しく飲食店の開業を検討している方と、お店をシェアする。
この状況でも開業を検討されている方は少なくないです。家賃負担の軽減というメリットだけでなく、新潟の飲食業界を盛り上げる可能性も秘めています。
・お店の営業日を半分にして、残りの日を別の場所で働く、という新しい働き方を行う
通常の営業スタイルで経費削減を行うのにも限界がある場合が多いため、思い切って新しいことを並行して行う、ということです。
今の状況は、「不確実性」というリスクに、個人個人がどこまで対応できるか、が問われているのだと思います。
今日と明日は同じでない、これまで成功してきたやり方が明日も通用するとは限らない、ということを前提に、「安定」や「現状維持」に頼ることができない状況です。
このような時に、これまでのやり方や、全ての要素をコントロールして結果を出すことは現実的に不可能です。
「全ての要素をコントロールするのは難しいので、自分が行いやすく優先順位の高い要素に絞り、何とか結果が出せるようにベストを尽くす」という方法が生き残り戦略の1つではないでしょうか。全ての条件が揃わなくても走り始め、環境が変化することを是として、それに対して俊敏に対応していく方法です。
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