最新情報
2020.02.10

災害への事前対策について

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

皆さんこんにちは。

この原稿を書いている2月10日現在、新型肺炎が全世界に感染がひろがり、収束する兆候はなく経済にも影響が出始めています。店舗ではマスクが売り切れ、新型肺炎に対する備えを急がれた方も多いのではないでしょうか。

 

今年で阪神淡路大震災から25年が経ちました。また新潟においても中越地震、中越沖地震、昨年には山形県沖地震が発生し、日本各地でも地震や台風等による水害被害が毎年のように発生しています。自然災害はいつ自分達の身に危険を及ぼすかはわかりません。

災害が発生すると、まずは自身・家族の安全確保や安否確認、生活環境の確保、復旧が何をおいても優先されます。地域や学校では防災計画の策定や、防災訓練がおこなわれ、災害への防災・減災対策がとられています。

 

一方で、「企業の防災・減災対策は?」となると、「火災訓練のみ実施している」「どんな準備をしたらよいのかわからない」「災害対策に多額の費用はかけられない」といった企業が多いのが実情かもしれません。しかしながら何も対策を講じないということは、自然災害が今後も発生する可能性が高いことを考えると大変なリスクを抱えることになります。事実、災害発生後に営業を再開できず、廃業を余儀なくされるケースも多く「災害廃業」とよばれる廃業が近年増加しているのです。

 

このような中で、中小企業者が準備すべき災害対策について、政府は「事業継続力強化計画」の認定制度を設け、企業の防災・減災対策への支援を開始しました。

事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策について取り組む項目を検討し、災害発生時に事業活動の継続を目指すことを目的としたものです。

具体的に、計画にどのような取り組みを記載するかというと、

 

①事業継続力強化に取り組む目的の明確化
「従業員やその家族を守る」「顧客や取引先への影響を最小限にする」など。

②ハザードマップを活用した、自社拠点の自然災害リスク認識と被害想定対策
浸水範囲はどのくらいか? 津波の予想高さはどのくらいか? などの被害想定自治体のハザードマップや地震ハザードステーションなどの情報を利用します。

③災害発生時の初動対応手順(従業員の安否確認方法、被害の確認方法、発信手順方法等)

④ヒト、モノ、カネ、情報を災害から守るための具体的な対策
損害保険に加入、紙媒体の書類をデータ保存、協力会社との連携契約、など。

⑤平時の推進体制について。緊急時に落ち着いて行動できるよう、日常的に何に取組むか。
定期的な訓練や組織変更時の見直しなど。

 

主に以上のような項目を計画として策定するため、決して難しい内容ではありません。政府は、この計画を中小企業が作成することで「実効性のある防災・減災対策」が実現し、事業を早期に復旧させることを期待しているのです。

更に、計画について国から認定を受けると、税制優遇や補助金の加点などの支援施策を活用できるというメリットもあります。しかし、何よりも「従業員の安全確保、事業の早期再開」を実現するために、計画策定についてぜひご検討ください。

 

少し余談になりますが、東日本大震災で私自身が経験したこと、前職時代に熊本地震や、北海道豪雨災害、西日本豪雨等の被災地支援で感じたことから、準備が大事だと思った出来事をいくつか紹介します。

 

・職場にスニーカー等、歩きやすい靴を置いておく。職場から徒歩での帰宅ルートを確認しておく。

・携帯電話がライフラインになるので、モバイルバッテリーを常備しておく。

・加入している保険の内容確認。証書を写真で撮っておき、「Google Photo」等の無料クラウドサービスに保存しておく。

・災害が発生したら「復旧作業前」の現場写真をできるだけ多く撮影しておく。保険申請、災害支援申請の際に必要になります。

・罹災証明、被災証明の早期申請。

災害が発生しないことが最も良いのですが、「備えあれば憂いなし」。準備をしておくことで精神的にも余裕も生まれるのではないでしょうか。大切な家族や従業員、自社事業を守るために、検討を始めるだけでも意識が変わってくると思います。

また事業所だけでなく、各家庭でも生活環境保護の観点から、災害への備えについて検討してみても良いかもしれません。「3日間自力で頑張れる」というのが準備の目安としてよく使われていますので、まずはこれを目標として見直しと準備を始められてはいかがでしょうか。

 

 

<参考>

◎「事業継続力強化計画」策定の手引き

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/2019/191002kyokatebiki.pdf

 

◎災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

 

 

メールマガジン登録 Mail Magazine

新潟IPC財団メルマガに登録すると、新潟のビジネスに役立つ情報をお届け!ぜひご登録ください。