カフェで聞こえてきた会話から

2019年09月13日| Keyword Square 松井 俊輔

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 テレビや雑誌でよく見るあのブランド、あのレストラン、あの食べ物。

食べてみたい!と思っても新潟には出店していない。「なぜあのお店やブランドは新潟に出店していないんだろう」と思ったことはありませんか?

 

先月訪れた新潟県のお隣の群馬県。高崎駅で時間があったため、コーヒーが飲めそうなカフェに入ったところ、たくさんの来店客でにぎわっていました。その中で、近くにいた女性2人組が新潟の方だったのか「このお店、新潟にもあったらいいのにねー!」と話しているのが聞こえてきました。(決して聞き耳をたてていたわけではありません…)。

少し気になり、そのカフェの出店状況を調べてみると、首都圏を中心に全国で21店舗あり、高崎や仙台にも出店していますが、新潟には出店していませんでした。

そして、そのカフェの隣には、奈良に本店を構える伝統工芸品の販売店が出店しており、こちらも高崎には出店しているのに新潟には出店していません。

これらのお店の出店判断基準はなんだろうか、と考え始め、調べてみることに。

 

まずは、新潟市と高崎市の人口を単純比較してみました(今回使用する人口数等のデータは参照元が一つではないため、おおよその数字であることをご了承ください)。

新潟市:約80万人、高崎市:約37万人 と、圧倒的に新潟市の人口が多いので、単純に人口の多さで出店を決めたわけではなさそうです。では、商圏という捉え方で、周辺都市の人口も含んだ「都市圏」という少し大きな視点で見てみると、新潟都市圏:約140万人、高崎都市圏(前橋都市圏):約126万人 と、これまた新潟の方が多い結果です。

日本海側の都市で新潟に進出していない全国ブランドを調べてみると、その中で金沢には出店しているブランドが多いことがわかりました。そこで金沢都市圏の人口を調べると、金沢都市圏:約109万人 と、こちらも新潟の方が多い…。

 

次に平均年収を調べてみたところ、群馬県:456万(20位)、石川県:448万(24位)、新潟県:410万(33位)という結果。この視点であれば高崎や金沢に出店する理由があるかもしれません。

人口規模、年収。自分なりに仮説を立てて検討をしてみましたが、「出店に関しては“人口の多さ”の視点だけではなさそうだ」ということは明確になりました。

もちろん、出店計画については、企業のイメージや展開に関する戦略などもあり、そのための商圏調査について大手企業は莫大な費用をかけて綿密に商圏調査をおこなっています。中小企業が同じように商圏調査をおこなうには資金的にハードルが高く困難と言えます。

 

それでは中小企業ではどのように商圏調査をおこなうのか。

ご紹介したいのは総務省統計局が提供する「j-STAT MAP」。こちらは無料で利用できるWebサービスですが、出店候補地を地図で登録すると、その周辺の人口や世帯数など政府が保有する膨大な統計情報を活用した商圏分析がレポートとして出力されます。出店候補地の分析だけでなく、販路開拓を目指す際の商圏分析としても大いに活用できるものです。

 

また、商圏や市場調査にまつわる話として

・九州でファッションブランドを展開する時は、熊本から始める

・新商品の市場調査は、静岡と広島でおこなわれることが多い

(ちなみに、平均年収は 広島:486万(13位)、静岡:479万(14位))

・ある有名ラーメンチェーンは、あえて大手外食チェーン店の近くに出店する

など、興味深い手法も多いようです。

 

今回は偶然聞こえてきた会話から疑問が浮かび、「人口の多さかな?年収かな?」と自分なりに仮設をたてて調べてみました。当初の「なぜ新潟に出店していないのか」という疑問に関しては結論が出ずですが、人口規模など改めて知ることも多く良かったと思っています。

 

マーケティングや経営手法について、「なぜかな?」と考え調べてみると、その疑問やその疑問以外にも新たな発見や気づき、見えてくるものがあると思います。

ちょうどこの原稿を書いている季節的なものもあり、「自由研究もこんなだったなあ」と思いながら考えていました。夏休みの最後に残してしまった自由研究を、半泣きでまとめていたほろ苦い思い出の少年時代の夏。余談ですが、自由研究の発表でよく使われる模造紙のことを、新潟では「大洋紙」ということを、今回いろいろ調べている中で偶然知ったのも新たな発見でした。

 

みなさんも、ご自身の興味のあるマーケティングや経営手法について、楽しく自由研究してはいかがでしょうか。

◇j-STAT MAP(https://jstatmap.e-stat.go.jp/

 

後日談:今回のカフェ出店基準の件、結論を知りたくてモヤモヤしましたので、問合せ窓口に新潟への出店について質問をしたところ、「遠方で足を運べないお客さまにも気軽にお越しいただけるよう、店舗数を増やしていきたいと考えています」と丁寧なお返事を頂きました。ありがとうございました。

 

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