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2019.02.28

人工知能(AI)に出来る事と出来そうな事

ものづくり技術コーディネーター 原 利昭

 人間誰しも”こんなモノが有ったら良いな!”と思う事が屡々有るかと思いますが、最近、この様な思いを効率良く実現可能にする研究が進められています。しかし、待ち遠しい気持ちと完成品に辿り着けるのか疑心暗鬼の思いが交錯する事も事実です。この様な時に思いを、十分、実現してくれる強力な助っ人が、深層学習(deep learning)です。また、多層のニューラルネットワークによる機械学習手法である事から、現時点では他をかなりリードする機能を備え、飛躍的進化を、更に、強烈にサポートしつつあります。例えば、プロ棋士を負かす囲碁の腕前をアピールし、小説を書く事や車の自動運転での支援等にも活用され、驚異的な変化を社会にもたらすとの指摘がなされています。その核となるのがAI(Artificial Intelligence)=人工知能です。2010年頃から、人工知能(AI)に関わる報道が次第に増えると共にその驚異的存在やそれによる結果を質と量の両面から明示されて来ました。こうした特性を持つAIの判断を向上させるために、人間とAIはどの様に共存していけば良いのか、倫理的観点から更に幅広く考える事が求められています。

企業の現場では規模の大小を問わず、ベテランの従業員でも見分け難い工場設備での種々の不具合や故障の予兆をAIがかなりの高い確度で事前認識し、製造分野に限らず修理等に伴う生産ラインの休止をも未然に防ぐ事を可能にしているが、IoT(モノのインターネット)を活用してもシステムの中に適切な仕組みを導入すれば、稼働率の維持および効率のチェック等も含めてラインに関する十分な管理能力を備える事になります。

一方、医療の分野でも、検査や診察所見に基づく過去の症例や治療例から得た膨大なデータを参考に、患者の電子カルテから詳しい症状分析とその患者に適した治療法を提案し、現場の医師に助言を与えます。これによって病院の規模に関係無く、より的確で正確な診断・治療の展開が可能となります。 未だ未だ発展途上にあるAI活用では常に同じ基準で質の同じ判断をする優位性を得る事が望ましいのですが、その判断をする過程はブラックボックスである事から、前述の特性を持つAIの判断をより正確にするために、学習データの質に拘る考え方が確実に拡大する傾向にあります。

 上述の様に課題も指摘されている部分と着々と進展する部分が見られ、有望な分野等へのAIの応用を、成長戦略の柱と位置付ける様です。例えば、20以上の研究機関や企業が連携して製造や医療などに活用する人工知能(AI)の開発事業を、国の支援の下、各社の技術と幅広い協力関係を生かすと共に大学との研究協力も見込んで展開する状況にある様です。人材不足や高齢化などの課題解決を目指す状況が明確且つ具体的になれば、研究者や関連企業者に更なる有利な展開が訪れる事となり、更には、これらの成果が”課題先進国”の問題解決にも役立つ可能性が考えられます。

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