今こそ地域での“産学官金”連携を!

2017年11月30日|ビジネスよもやまばなし

2017.11.30
ものづくり技術コーディネーター 原 利昭

“ヒトが居ない!” 地元企業をはじめ全国の地域企業も口にする言葉となっている。特に、“産官金”が“若者を地元に!”との思いを極めて強く抱いており、喫緊の課題としている。
県内の工学系私大では、昨年同様、本年もこの時期に学生の進路が既に100%、決まっている。他方、市内の国立大学法人も似た様な状況にあり、工学系の4年生や大学院生等では、地元に残る割合は増えていない。

地域から有能な若手人材が都市部に移動し続ければ、回復するのは並大抵では無く、簡単に対応策を見つける事等も容易ではない。多くの地方都市が抱える共通の悩みである。この様な事から、大学を卒業した後も、“地元で働けるような仕組みがつくれないものだろうか?”との指摘が多い。

“若者を地元に!”と地域密着の考えで大学が新たな取り組みをするところも見られるが、大学も地域企業等と同じ様な状況を抱えている。即ち、大学進学率が50%を超え、受験生が進学を機に故郷から離れてしまう状況が見られる事だ。この様な状況から、“卒業した後も地元に残って働き易い環境づくりが必要”とする意見も聞かれる。

現状では、地域に必要な専門職を養成する医歯学系や教育系以外の学部にも地域入学枠を設けるべきとの考えも聞かれる。その一方で、地域産業の課題や解決策をさぐる地域密着型カリキュラムを取り入れ、学生の就業体験や地元企業との共同研究に取り組む大学も少なく無い。

もう少し踏み込んだ制度として、例えば、本来の”学び直し”とはやや趣が異なると指摘されそうだが、大学で”理工学分野のカリキュラムに従事可能な実践的学び直しによる地域人材育成”が可能となる仕組みを創れば、地域企業固有の良い点や先見性、更には、多様性等も見つけられる可能性は大きい。

ここでの多様性と先見性とは、特に、女性人材の活用を重視する考えをも含んでいる。また、18歳の時に、将来就きたい仕事まで見えている人が少ないにも拘わらず、現在は大学入学時に学部を選び、進路を決めなければならない。

この様な学生さん達の全てでは無いが、進路の決め方に息苦しさを感じた場合には、一度働いてから“これがやりたい”と気づき、大学で再び学べばいい。企業も、社員が学び直すことをメリットとして考えるようになれば、更にブラッシュアップした貴重な人材を得る事に繋がる。

他方、ふるさとを、一旦、離れた人材も“学び直し”を活用して戻る事も期待出来ることから、教員とのコラボにより研究費の不足が報じられる地方の国立大学法人の現状を変え得る事も考えられ、教員が持っている研究力を十分に発揮する切っ掛けを提供し得る可能性もある。

但し、結果が出るまでには努力の積み重ねと時間が必要であり、地域との持続的連携や取り組みでの中長期的視点も必要不可欠である。だからこそ人づくり、地域づくりに希望が持てるのである。

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