型を知って、個性を活かす

2020年10月15日| Keyword Square 松井 俊輔

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

倍返し…いや、1,000倍返しだ!!

 

9月末に終わった、銀行を舞台にしたドラマ…。
ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
ご覧になっていない方も、冒頭のセリフをどこかで耳にされたことはあるかもしれません。

私は前シリーズからこのドラマのファンで、今回の放送が終わった今もロスから立ち直れていません…。

「お・し・ま・い・DEATH!」や「施されたら施し返す…恩返しです!」などのセリフを、いつか使ってみたいと思いながら、現実ではなかなか使う機会がないなあと思っている日々です。

 

このドラマでは、歌舞伎役者の方が多く出演されていたからか、歌舞伎の「型」や演出方法を上手に取り入れている事も、ドラマを盛り上げる効果に一役買っていると感じました。

「さあ、さあ、さあ」と2人で左右から問い詰めるシーンで使われた「割りぜりふ」。
じっくり時間をかけて顔の表情で考えを表現する「見栄を切る」シーン。
「最近、耳が遠くなって」と同じセリフを繰り返す「おうむ」などはわかりやすかったですが、歌舞伎に詳しい方が見られると、歌舞伎の「型」が随所に散りばめられているのに、もっと気づかれたのではないかと思います。

今回のドラマは役者によるアドリブが多かったとのことですが、調べてみると、これも歌舞伎では「捨てぜりふ」という型の一つのようです。
「さあ、さあ、さあ」と問い詰められていた人の役名が“曾根崎”というのは“曽根崎心中”をモチーフにしているのでは?というのは、私の考えすぎでしょうか?

 

演劇も音楽も、「古典」と言われるジャンルは、様式として外してはいけない「型」を基本として押さえつつ、その中で演者の個性がどう表現されているか、そのバランスを楽しむのが鑑賞ポイントの一つとされています。私たちが何気なく日常で使っている「型無し」「型破り」という言葉は、この「型」から生まれた言葉です。古典が現代のビジネスでも通じるお話し、いろいろな事例がありますので、一度、ワンコインセミナーで専門家からお話しいただいてもいいのでは、と思っているところです。

 

そんな視点で様々なビジネスモデルを見てみると、この「型」をきちんと踏まえた取り組みで成功されている事業者の方がいらっしゃいます。

 

「坪月商が業界標準より高いお店」を特集した情報番組で紹介されていた事例が、まさに、「型」をきちんと実行しながら、そのお店独自の色を出している、という取り組み内容でした。

 

・“1回きりのお客さんより、地元の人に何度も来てもらえる飲食店”というコンセプト。
・駅と住宅街の間に立地し、駅を利用して通勤する人をターゲットにする。
・お店の前を通る人に興味を持ってもらえるように、店内を“チラ見せ。”
・ランチ、カフェ、夕食、と利用時間帯を広く設定。
・喫茶、お弁当、食事だけの利用から、ちょい飲み、しっかり飲みまで対応するメニュー。
・店舗面積は狭小ながら店舗設計を工夫することで、様々な利用ニーズを持つお客さんに対応した席配置と効率的なオペレーションが可能。
・産地にこだわった食材を、その店ならではの調理で提供し、1皿1,000円以下の日替わりメニューを充実。

 

と、実際のお店を見ずとも、好事例として取り上げられるのに納得のお店です。

 

既存商品・サービスの足りないところを付け足す、既にある別々のサービスをくっつけて1つのサービスとして提供する、このような取り組みでヒットした事例が少なくないことは、皆さんの身の回りを見てもおわかりになると思います。

有名な例を挙げると、携帯とカメラを一台にして画像をメールで送れる仕組み、ショッピングセンターの駐車場にコインランドリーを併設して、洗濯の待ち時間を買い物に利用できる効率的な仕組みなどがあります。

 

今回ご紹介したお店も、1つ1つの取り組みを見ると目新しい点はないですが、それぞれが「お客さん・お店にとってメリットがある基本的なこと=型」であり、それらを総合的に一つのサービスとして提供することが「そのお店の個性」となって、「ありそうだけど、今までなかったお店」として繁盛しているのではないでしょうか。

 

こういう目線で見慣れたお店やサービスを見てみると、まだまだ新しいアイディアが生まれてくるかもしれませんね。

 

ドラマで主人公の奥さんの「仕事なんかなくなったって、生きてればなんとかなる!」というセリフ。主人公も“仕事の価値観”について、人として当たり前ながら新しい気づきを得られた場面だと感じましたし、私自身も「自分が楽しめる人生が大切」と思いました。

 

IPCも、みなさんのビジネスに役立つ機関であるという「型」を大切に、事業発展の新しい気づきを共に考える支援者であり続けたいと思います。

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