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2020.05.15

新型コロナとキュレーション

プロジェクトマネージャー 松井 俊輔

 東京など緊急事態宣言が延長されている都道府県はありますが、新潟は一部休業要請が解除されるなど、止まっていた経済の動きが徐々に動き出す期待が出てきた状況になってきました(5月12日時点)。

突然ですが皆さんは「キュレーター」という職業をご存知でしょうか?
キュレーター(英語: curator)とは、博物館(美術館含む)、図書館、公文書館のような施設において、収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職、管理職、という職業です。日本では「学芸員」の方がイメージを持ちやすいでしょうか。

先日、新潟日報の記事から「みなとぴあ」で「いっぴん ―学芸員おすすめの品― 展」という企画展が開催されていることを知り、さっそく行ってみました。多数ある館収蔵品の中から、各学芸員がそれぞれの視点から「いっぴん」を選び出し、その資料の価値とユニークなポイントを解説付きで展示しています。まさに、学芸員の方々のキュレーターとしてのプロの仕事ぶりを感じることが出来る展示内容でした。

市民から寄贈されたという数百本の空き缶コレクションがずらりと並べられていたり、旧・大和百貨店のレストランの食品サンプルが展示されていたりと、通常の展示会では展示しにくい銘品(迷品?)が、それらを選定した学芸員の熱い思いが込められた解説文とともに楽しめます。

中でも私が一番興味深かったのは、1915年に新潟新聞社が行った新潟美人投票で選ばれた芸妓10人の肖像画です。当時の新潟美人の肖像画がずらりと並べられた一角に立つと、たくさんの美人から見つめられ、照れてしまうとともに見ごたえがあります。解説によると、「新潟新聞1部に投票券1枚」が付いていたということで、現代のAKB人気投票のような仕組みが昔からあったことに驚きました。1位は10万票余りを獲得したそうで、AKB人気投票のようにお気に入りの芸妓さんに大量投票するために、1人で数百部の新聞を買い求める人もいたとか。AKBのプロデューサー・秋元氏はもしかしたらここからヒントを得ていたのか?なんて思ったりも…。

自分が興味のない分野にはなかなか目が向かないものですが、企画展を偶然知ったこと、キュレーターのプロの仕事により、展示物を通じて新潟の歴史の知識を深めることが出来、良い機会となりました。

この学芸員の方々の「収蔵品を冷静に整理・分析する=キュレーション」の仕事ぶりを見て、自分の業務においても情報を整理することの重要性を改めて感じました。

私は新型コロナへの対応についてご相談を受けた場合、大きく分けて3つの事項で整理されることをお勧めしています。①筋肉質にする行動、②防御力を高める行動、③攻撃力を高める行動、です。

まず、①筋肉質にする行動ですが、具体的には不要不急の支出をできるだけ抑えるということです。固定費で削ることができる項目や金額を検討する、優先度が低い支出を止めるということで、営業時間の見直し、メニューの見直し、大家さんへの家賃交渉等が考えられます。
②防御力を高める行動としては、手許現金に余裕を持たせるということです。3~6か月分の運転資金を無利子で融資を受けるという方法や、「①筋肉質にする行動」にも関わってきますが、現在、有利子負債をお持ちであれば3年間の無利子融資等に借り換えるという方法です。
③攻撃力を高める行動は、①②の行動で余裕が生まれれば、新型コロナで変わった環境に適応した新しい取り組みを実施することになります。WEBを利用した新しい顧客サービス、これまで取り組めなかった顧客サービスを考えてみるきっかけにする、という、新型コロナを前向きにとらえる方法です。

東京・吉祥寺では、飲食店がWEB飲み会を主催し、店から2Kmのお客さんに限りますが、飲み会中に注文を受けて料理を出前するサービスを始めています。持続化補助金、ものづくり補助金も新型コロナ対応型が始まっているため、補助金を利用して新規事業を実施することも考えられます。

ただし実際に行動に起こす際には、どの行動もご自身の事業のキュレーション(分析)が必要になります。「①筋肉質にする行動」では、ご自身の事業全体を見渡し、続けること・見直すこと・止めることの優先順位をつけることが必須です。「②防御力を高める行動」では「月当たりの資金繰り(必要経費)」を正確に算出し、最低でも1年間の資金繰り表を作成することが必要です。「③攻撃力を高める行動」では、弱みを補強するのか、強みをさらに強化するのか、自身の事業を分析したうえで計画(作戦)を立てることが必要です。
まさしく、ご自身の事業のキュレーション=情報収集、整理、分析、が必要なことがおわかりいただけると思います。

新型コロナに対応した各種補助金、助成制度、融資制度は多数あり、日々情報が変わっていることもあって、なかなか事業者ご自身で情報を収集するのは難しいと思います。

IPCではご相談内容をうかがいながら、各機関が出している制度を横断的にご案内していますので、「みなさまのキュレーター」としてご活用いただければと思います。

一つご紹介ですが、今回ご紹介した「みなとぴあ」では、「おうちみなとぴあ」をHPで公開しており、この「いっぴん展」も閲覧することができますので、おうちで楽しでいただけるのではないでしょうか。もしかしたら、皆さんのご自宅にも「いっぴん」が眠っているかもしれません!

◇いっぴん―学芸員おすすめの品―展(621日まで)

http://www.nchm.jp/contents02_gyoji/02_kikaku_202001_top.html

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